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■ギリシャショックは日本国民にどう影響するの?=妻と夫の株ロマン


妻 『リーマンショック』に続いて、今度は『ギリシャショック』です。2つは、どのように違うのですか。

夫 ひとことで言うと、「民間企業」の破綻と、「国家の破綻懸念」ということだろう。リーマンショックでは、アメリカの大手銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻した。バンク・オブ・アメリカ、メリルリンチ、バークレイなどの民間金融会社の経営不安も表面化した。買収されたことなどで、なんとか乗り切れたけど、リーマンは破綻し、製造業ではGMも破綻した。

妻 「破綻」なら、民間企業も国家も同じではありませんか。

夫 「破綻」という2文字は同じでも中身は大きく違う。日本では、最近、日本航空が破綻した。上場廃止となって、個人株主はたいへんな損害を受けた。銀行も貸し付けていたお金の棒引きを要求された。企業の場合は、破綻したら、上場廃止や、新たに、借り入れができなくなるなど、市場主義社会の中でゲームができなくなる。そこに勤めていた人は、どこか新しい職場を求めなくてはいけない。それでも、極端な話、数100万社といわれる株式会社が一斉に倒産しない限り、別の職場を見つけて人は移って行く。しかし、国家が破綻すると、厄介だ。

妻 どうして。

夫 国家が破綻したら、国民は行く所がない。会社が倒産した場合なら、新しい会社へ移ることもできるけど、国を捨てて、外国へ逃げ出すことはできない。相手の国だって受け入れてくれない。結局、太平洋戦争で負けた後の日本のように、国民が貧乏に耐えて頑張るしかない。とても、大変なことだ。国家破綻では信用がなくなるから、国家と国家の取引は、すべてが物々交換のようになってしまう。すぐに代金をくれないなら油、食料は売りません、ということになる。原材料が手に入らないから、いくら技術があっても、物が作れない。作って売ることができなければ収入がなくなる、という悪循環となってしまう。敗戦の後は都会などすべてが焼け野原で、お金も無ければ建物もなく、全く何にも無かった。すべてがゼロだから分かり易いともいえた。皆同じだった。しかし、これから国家破綻が起きると、建物など都会の風景はそのまま。しかし、お金が無いから豊かな生活ができない。最悪の場合、エネルギーを買うお金がないから、新幹線はあるのに走らせることができない。戦後とは大きく違った形の苦しい状況になる。

妻 でも、国家は株券を発行していませんから上場廃止にはならないわね。

夫 株券はないけど、国は国債を発行している。国民に国債を買わせるだけ買わせておいて、「国債は返すことができません」ということは起こりうる。

妻 怖い話ですね。企業、国家の破綻はなぜ起きるのですか。

夫 企業も国家も、そして個人だって、理由は、まったく同じなんだ。しかも、いとも単純だ。『収入』と『支出』のバランスが崩れるためだ。それだけのことだ。小学生でも分かることが、大人の欲得の世界では分からなくなってしまうのだ。

妻 そうですね。お給料以上に派手な生活をして支出が増えれば家計はもちません。個人なら、遊びにおぼれることもあると思います。しかし、企業や国家は、収入と支出の関係を、きっちりと管理しているのではありませんか。

夫 たしかにその通りだね。会社には財務部や経理部があり、国には財務省がある。しかし、いくら、きっちり管理しても、最終的には企業も国家も人が運営しているから、人の持っている欲や甘えなどが判断を狂わせる。企業の場合、儲かり始めると、立派な本社ビルを建て、経営者が夜な夜な高級クラブに出入りするようになる。遊び、贅沢に時間と資金を割けば、当然、費用は膨らみ、本業で稼ぐことが疎かになる。収入より支出が大きくなってしまう体質が出来上がってしまう。

妻 国家の場合、破綻に向かうケースはどのような形をとるのですか。

夫 政治との関係が一番だろう。政治の場合、大きく分ければ、企業中心の競争社会型か、もうひとつは福祉に厚い大衆型の政治か、ということになる。企業中心の競争社会は強者と弱者を生み、格差が生じる。それではいけないと、今度は格差是正で競争を排し、福祉優先の政治になる。まさに、昨年から日本で起きた自民党政権から民主党政権への流れがそれなんだ。一口で言えば、競争社会は収入優先、福祉社会は支出優先といえる。

妻 強い者だけが良ければ、それで善しという社会も考えものですわ。

夫 その通りだ。しかし、競争を排して平等優先になると、おねだりばかりの甘えがはびこる。「もっとちょうだい、もっとちょうだい」。政治家は票が欲しいから、おねだりに応えようとする。手当てと称してバラマキをする。一生懸命やろうとする人はばからしくなって働こうとしなくなる。その結果、国際競争力は低下して、その国の製品は売れなくなる。支出ばかりが増えて収入は増えない。日本はそこへ近づきつつあると心配されているんだ。

妻 ギリシャがそうだったのですね。

夫 そうだね。公務員が多いうえに、給与も毎年上がっていたようだ。年金も50歳代前半からもらえるようだ。とくに、ギリシャは観光がメインの産業だけど、世界不況と新型インフルエンザの影響で訪れる観光客が激減して国の収入が減ってしまった。収入の減少を補うために国債を発行する。その結果、国の借金が膨れてしまった。収入が増えないで、支出ばかり増えて、借金が積み上がっているギリシャは危ないという懸念が持ち上がったわけだ。

妻 あわてて、給与をカットしたり、税金を上げようとしたのですね。

夫 そうなんだ。しかし、時、既に遅しだった。テレビで紹介されているように国民は大反対、ストで生活がマヒしている。危ないから、観光客はますます寄り付かない。人は、貰うときは嬉しいけど、取られることになると大反対する。日本も今のうちから収入と支出のバランスをとらないと大変なことになる。既に、日本は国の借金はGDPの2倍の900兆円程度にまで膨らんでいる。先進国の中で凄い数字なんだ。他人事ではないんだ。それでも、民主党は票が欲しいから、まだ支出を増やそうとしている。

妻 だけど、EU各国はお金を出し合ってギリシャを助けるのでしょ。

夫 EUという親戚が、お金を出し合う。しかし、ドイツの人は、なぜ、人の借金の面倒をわれわれが見なくてはいけないんだ。高い賃金、年金を貰い、楽をしている相手に、なぜ、努力してるわれわれが、お金を出さなくてはいけないんだと、不満が高まっている。一度は貸してもらえても、何度もは無理だろう。基本的にはギリシャ自身が収入と支出を均衡させなくてはいけない。われわれも、今後、日本の政治が収入と支出のバランスを採ったものかどうかを、しっかりと見ていかなくてはいけない。貰うことばかり喜んでいると、後で大きなツケがやってくる。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.05.31 |特集