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■企業は経費削減で利益を出す『売上欠乏症』!投資の視点:妻と夫の株ロマン


■売上は社会と企業を結ぶ、重要なもの

夫 今日は、久しぶりに、政治から離れて話そうよ。

妻 そうね。だけど、「事業仕分け」はいいですね。今までになかったことです。政治が変わった、という実感ですわ。

夫 たしかに。今までは、密室で進んでいた印象があったね。会議制や合議制は民主主義の基本だから、国民に分かりやすいことは大切なことだ。ただ、心配なこともある。

妻 なんですか。

夫 たとえば、企業が上場した場合と似ていることだけど、上場すれば、当然だが、投資家、アナリストの目が厳しくなる。四半期ごとに業績の説明をしなくてはいけない。あれこれ、つつかれる。

妻 企業は公器ですから当然でしょ。

夫 そうなんだけど、ただ、会社の取締役会などでも同じようなことが言える。「任期中に失敗をしない」、ことが第一となって、会社の将来のことより、足元の任期中のことが中心になりがちだ。民主主義は手続きが面倒だから、つい、「落としどころありき」の無難な結論になってしまう心配がある。このため、代表権のある取締役が会社の将来に対し、恐れず、ジャッジを下すことが大切だと思う。同じように、一国の主は、短期的なことと同時に、中長期的なビジョンも明確にしてほしい。「事業仕分け」を、井戸端会議的だと悪口を言う人もいる。そこまでは、言いすぎとしても、「手続きは済ませました」式で、国民のガス抜きであってはいけないと思う。

妻 ところで、日本の株式マーケットですけど、政治が色濃く反映しているとは思います。仮に、最初にお願いしたように、政治から離れて見た場合、どういうことになりますか。当然、「景気」→「企業業績」→「需給関係」→「株価」、ということでしょ。

夫 今の局面で、「政治」要素を抜きに話すのは、なかなか辛いものがある。仮に、今の政治スタンスが、しばらく変わらない、という前提なら、ひとつ、はっきりしていることがある。

妻 なんですか。

夫 企業は政府に頼れない。独力で、よりいっそう頑張らなくてはいけない。かつては、景気が悪くなれば、公共投資の増加などで、政府に期待できた。今はまったく頼れない。少子高齢化で、国内需要は減少する。その一方で、物・サービスを供給する側は、戦後の成長期のままで多すぎる。企業の合併、統合は続くと思う。あるいは、新興国に売上を求めなくてはいけない。企業は、どこにも頼れない中で、汗と知恵を出して、売上を獲得していかなくてはいけない。このことだけは、はっきりしている。

妻 「売上」は、やはり大切なんですね。

夫 一般には利益が重視されがちだけど、僕は、「売上ありき」だと思っている。売上は社会と企業を結ぶ、重要なものだと思う。企業は社会から存在価値を認められることで、売上という、ご褒美をもらえる。桃子がマーケットに行く場合だって、買い物に価値を認めないと、お財布のお金は出さないだろう。

妻 そうですね。仮に、どんな優秀な商品でも、売れないと利益にならない、自己満足とうことですわね。品質と価格の関係は難しいですね。それで、最近の企業業績では売上の状況はどうですか。

夫 日本経済新聞社の発表では、9月中間期(4〜9月)の全産業の売上は前年同期比で22.6%の減少、10年3月期見通しでも12%の減少となっている。

妻 利益はいかがですか。

 【夫】 経常利益は中間期で60.8%減益、10年3月期では1.4%の増益と発表されている。

妻 たしかに売上の減少は大きい印象です。その中で、よく利益を出していますね。

夫 完全に今は、『売上欠乏症』の状態なんだ。その中で、経費削減でなんとか利益を出している姿といえる。しかし、売上が増えないと経費削減には限界がある。ましてや、今のような、仕事がなく、売上のない状態では企業は人を雇うことはできない。本来は政治の出番だけど、言っても始まらないけど。企業は縮み込んで氷河期を耐え抜くしかない。

■「変化率と絶対値」の関係

妻 だから、株価が上がらないのですね。良い決算でも。これからの投資で気をつけることは、どのようなことですか。

夫 桃子の言う、良い決算は予想より良いということなんだ。いわゆる、変化率という言葉。この、『変化率』に惑わされないことが大切だと思う。増額だとか、大幅増益という見出しが目に入る。しかし、悪い時期と比較すれば、「変化率」は大きくなるのは当然なんだ。足元の変化率が大きいと、つい、先行きも高い増益率が続くと期待してしまう。機関投資家の運用者などプロは、「変化率と絶対値の関係」は、よく知っているから、好決算を発表すれば、一旦は売ってくる。だから、好決算の翌日に株価が天井をつけるケースが目立つんだ。

妻 たとえば、トヨタ自動車で、「変化率と絶対値」の関係を教えてくださいな。

夫 トヨタ自動車は11月5日に10年3月期の増額を発表した。営業利益を今年8月4日に発表した数字に対し4000億円も上回るものだった。このため、同社の株価は5日の終値3580円に対し、6日は3630円と買われた。しかし、その後は、11日には3370円まで下げてしまった。典型的な発表売りといえる。4000億円の増額は変化率としては確かに大きい。しかし、それでも10年3月期の営業利益は3500億円の赤字なんだ。

妻 なるほど、4000億円という増額に目が行ってしまうのですね。主婦のバーゲンセールの値引き心理と近いものがありますわ。わたしなんか、「半値」といわれると飛びついてしまいます。

夫 営業損益が赤字だから、配当予想は未定、1株利益も赤字。仮に、こんな状況で一般個人に買いを勧めたら、後で問題になるよ。配当利回りのめどは立たない、PERも計算不可能なのに、どう説明したのかと。トヨタという名のブランドと、予想を上回るということだけで買いを推奨したことになる。

妻 もちろん、個人の方がネットで自分の責任で買うのには問題ないのでしょ。

夫 モチロンだ。対面営業で勧められたわけではないから、あくまで、その人の裁量といえる。ただ、個人の方は、このケースのように「変化率」は大きいけど、PER、利回りなどの絶対値では買えない銘柄が多いことは頭に入れておいてほしい。GDP(国内総生産)が増加して、企業の売上が伸びている環境なら、変化率にウエートを置いてもいいけど、今のような、『売上欠乏症』の環境では慎重さが大切だと思う。

妻 短期売買の人はそれでいいとしても、中長期の現物投資の個人の方はどのように銘柄を選べばいいのですか。

夫 (1)経営者の社会貢献の姿勢がしっかりしていること、(2)技術など独特の強さを持っている、(3)短期的な経営課題と中長期の目標がしっかりしていること、(4)売上が伸びていること。少なくとも横ばいは維持できていること、だろうね。

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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2009.11.08 |特集