【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールテック・ウエノは米スキャンポ社がTOB発表、株価はTOB価格にさや寄せ

銘柄分析

アールテック・ウエノ<4573>(JQS)は眼疾患領域や皮膚疾患領域を中心に展開する創薬ベンチャーである。8月26日にスキャンポファーマ合同会社が当社株式に対するTOBを発表し、当社も賛同意見を表明した。株価はTOB価格1900円にさや寄せする動きだ。なお完全子会社化を目指しているため当社株式は上場廃止となる予定だ。

■米スキャンポ社が当社に対するTOBを発表

8月26日に米スキャンポ社がスキャンポファーマ合同会社を通じて、当社株式に対するTOB(株式公開買付)を発表した。買付価格は普通株式1株あたり1900円、買付期間は8月27日~10月13日で、完全子会社化を目指す。

当社も8月26日、TOBに賛同の意見を表明し、当社株主に対して本公開買付への応募を推奨することを決議した。公開買付者が完全子会社化を目指しているため、当社株式は上場廃止となる予定だ。

■レスキュラ点眼薬およびAMITIZAカプセル受託製造が主力

眼疾患領域や皮膚疾患領域を中心に展開する創薬ベンチャーで、緑内障・高眼圧症治療レスキュラ点眼薬の製造販売、および米スキャンポ社の便秘症治療薬AMITIZA(アミティーザ)カプセルの受託製造を主力としている。当社はAMITIZAカプセルの全世界における独占的製造供給権を保有している。

■眼疾患領域や皮膚疾患領域で新薬開発を推進

新薬開発については、眼疾患領域では網膜色素変性治療薬(開発コードUF-021、製品名オキュセバ)、重症ドライアイ治療薬(開発コードRU-101)、糖尿病性白内障治療薬(開発コードRTU-007)、皮膚疾患領域では男性型脱毛症治療薬(開発コードRK-023)、睫毛貧毛症治療薬(開発コードRK-023)、アトピー性皮膚炎治療薬(開発コードRTU-1096)、神経疾患領域では糖尿病性神経障害治療薬(開発コードRTU-1096)の開発を進めている。

■16年3月期第1四半期は大幅増収増益

なお8月12日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比54.2%増の17億68百万円、営業利益が同32.5%増の1億83百万円、経常利益が同65.6%増の2億25百万円、純利益が同49.7%増の1億71百万円だった。AMITIZAカプセルが同88.2%増収となって全体を牽引した。

通期の非連結業績予想は前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比12.0%増の74億83百万円、営業利益が同32.9%増の23億円、経常利益が同22.2%増の23億03百万円、純利益が同17.0%増の16億12百万円としている。配当予想は同5円増配の年間35円(期末一括)で予想配当性向は41.9%となる。

■株価はTOB価格にさや寄せ

株価は地合い悪化の影響で8月25日に1087円まで下押したが、TOB発表を受けて急反発し、TOB価格1900円にさや寄せする動きだ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る