Jトラストは23年12月期最終増益幅拡大予想、さらに再上振れの可能性

(決算速報)
Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は、8月10日の取引時間終了後に23年12月期第2四半期累計連結業績を発表した。韓国およびモンゴル事業における前期の負ののれん発生益の反動があったが、日本金融事業の堅調推移、東南アジア金融事業の着実な収益改善、さらに不動産事業における負ののれん発生益計上などによって計画を上回り、最終増益で着地した。通期予想については8月8日付で上方修正し、前回予想に対して最終増益幅が拡大する見込みとしている。通期会社予想には再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は8月8日付の上方修正を好感する動きが限定的だったが、徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■23年12月期2Q累計最終増益、通期は上方修正して最終増益幅拡大予想

23年12月期第2四半期累計の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比59.3%増の536億49百万円、営業利益が34.7%減の86億05百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が22.7%増の160億31百万円だった。

韓国およびモンゴル事業における前期の負ののれん発生益(JTG証券の株式取得に伴う負ののれん発生益)の反動があったが、日本金融事業の堅調推移、東南アジア金融事業の着実な収益改善、さらに不動産事業における負ののれん発生益計上などによって計画を上回り、最終大幅増益で着地した。

日本金融事業の営業利益は8.3%増の22億71百万円だった。前期第2四半期に損益上の連結対象となったJTG証券およびNexus Cardの業績が期初から寄与して30.9%増収となり、販管費の増加やJTG証券の取得に伴う負ののれん発生益の反動影響などを吸収した。

韓国およびモンゴル金融事業の営業利益は、11億96百万円の損失(前年同期は124億67百万円)だった。前期第2四半期に損益上の連結対象となったJT親愛貯蓄銀行の業績が寄与から寄与して48.1%増収だったが、前期の負ののれん発生益(JTG証券の株式取得に伴う負ののれん発生益)の反動に加えて、貯蓄銀行業における預金利息費用の増加、景気悪化および債権不良化による貸倒引当金(損失評価引当金)などもマイナス要因だった。

東南アジア金融事業の営業利益は160.3%増の6億20百万円だった。銀行業における貸出金増加や保有有価証券増加に伴う利息収支増加などで40.5%増収となり、貸出債権のリスク低下なども寄与して大幅増益だった。

不動産事業(セグメント新設)の営業利益は、93億08百万円(前年同期は45百万円の損失)だった。Jグランドの不動産販売収益の増加、グローベルスの連結取込、吸収合併したミライノベートの取得に係る負ののれん発生益計上が寄与した。

投資事業の営業利益は9億60百万円の損失(同6億55百万円の赤字)だった。訴訟費用が増加した。その他事業の営業利益は215.7%増の65百万円だった。

四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が261億36百万円、営業利益が92億93百万円、純利益が91億24百万円、第2四半期は営業収益が275億13百万円、営業利益が6億88百万円の損失、純利益が69億07百万円だった。収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで変動する可能性がある。

通期連結業績予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず)については8月8日付で上方修正して、営業収益が22年12月期比43.2%増の1180億円、営業利益が27.1%減の105億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が30.6%増の165億円としている。配当予想は据え置いて22年12月期比4円増配の14円(第2四半期末1円、期末13円)としている。連続大幅増配予想で予想配当性向は11.7%となる。

前回予想(2月14日公表)に対して営業収益を30億円、営業利益を20億円、親会社の所有者に帰属する当期利益を35億円、それぞれ上方修正した。日本金融事業ではNexus Cardの割賦売掛金残高が拡大していることに加えて、債権回収が想定以上に進捗している。韓国およびモンゴル金融事業では、貯蓄銀行において預金金利上昇による収益悪化を想定していたが、韓国銀行による基準金利引き上げが一段落して懸念したほどの損失とならず、底打ちが期待できる状況となっている。東南アジア金融事業では利息収支が想定を上回って推移している。親会社の所有者に帰属する当期利益は18年3月期のIFRS移行後の最高を2期連続で更新する見込みとなっている。

修正後のセグメント別営業利益計画は、日本金融事業が46.6%増の57億64百万円(前回予想を据え置き)、韓国およびモンゴル金融事業が2億40百万円の損失(前回予想から11億92百万円上方修正)、東南アジア金融事業が10億78百万円(同15億44百万円上方修正)、不動産事業が99億76百万円(同11億30百万円上方修正)、投資事業が20億66百万円の損失(同1億47百万円上方修正)、その他事業が20百万円(同20百万円下方修正)としている。

修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は営業収益が45.5%、営業利益が82.0%、親会社の所有者に帰属する当期利益が97.2%となる。通期会社予想には再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は戻り試す

株価は8月8日付の上方修正を好感する動きが限定的だったが、徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。8月10日の終値は469円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS120円17銭で算出)は約4倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1004円59銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約590億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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