松田産業は24年3月期1Q減益で通期減益予想据え置き、自己株式取得を発表

(決算速報)
 松田産業<7456>(東証プライム)は8月10日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。貴金属関連事業における販売量減少などで大幅減益だった。そして通期の大幅減益予想を据え置いた。貴金属関連事業では半導体・電子デバイス分野の生産低下に伴う取扱量減少、食品関連事業では物流コスト上昇などを見込んでいる。ただし第1四半期の進捗率は順調であり、積極的な事業展開で第2四半期以降の収益改善を期待したい。なお自己株式取得を発表した。株価は小幅レンジでモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、24年3月期減益予想は織り込み済みであり、自己株式取得も好感して出直りを期待したい。

■24年3月期1Q減益で通期減益予想据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.4%増の885億64百万円、営業利益が43.3%減の24億18百万円、経常利益が34.9%減の29億15百万円、親会社株主帰属四半期純利益が34.6%減の20億21百万円だった。貴金属関連事業における販売量減少、食品関連事業におけるコスト増加などで大幅減益だった。営業外では為替差益が増加した。

 貴金属関連事業は売上高が6.2%減の599億87百万円、セグメント利益(営業利益)が48.4%減の18億03百万円だった。電子デバイス分野の生産活動低下に伴って貴金属リサイクルの販売量が減少し、白金族相場の下落も影響した。

 食品関連事業は、売上高が17.7%増の285億96百万円、セグメント利益が20.3%減の6億14百万円だった。売上面は畜産品や農産品の販売量増加、販売価格上昇で大幅増収だが、利益面は運送費や保管料の増加、仕入価格の上昇などの影響で減益だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比6.0%減の3300億円、営業利益が34.9%減の90億円、経常利益が32.8%減の93億円、親会社株主帰属当期純利益が33.0%減の65億円としている。配当予想は23年3月期比10円増配の60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は24.1%となる。

 貴金属関連事業では半導体・電子デバイス分野の生産低下に伴う取扱量減少、食品関連事業では物流コスト上昇などを見込み、減収減益予想としている。第1四半期の進捗率は売上高が26.9%、営業利益が26.9%、経常利益が31.3%、親会社株主帰属当期純利益が31.1%と順調であり、積極的な事業展開で第2四半期以降の収益改善を期待したい。

■株価は24年3月期減益予想を織り込み済み

 株価は小幅レンジでモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、24年3月期減益予想は織り込み済みであり、自己株式取得も好感して出直りを期待したい。8月10日の終値は2323円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS249円17銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3238円61銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約625億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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