カナモトは23年10月期第3四半期累計減益だが通期増益予想据え置き

(決算速報)
 カナモト<9678>(東証プライム)は9月8日の取引時間終了後に23年10月期第3四半期累計連結業績を発表した。売上面は堅調だが、利益面は人財投資による販管費の増加などの影響で減益だった。ただし通期の増益予想を据え置いた。レンタル用資産稼働率向上に加えて、レンタル単価適正化なども推進する方針だ。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。第3四半期累計減益を嫌気する可能性もあるが、1倍割れのPBRも評価材料であり、目先的な売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年10月期第3四半期累計減益だが通期増益予想据え置き

 23年10月期第3四半期累計(22年11月~23年7月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%増の1451億55百万円、営業利益が15.4%減の77億55百万円、経常利益が15.8%減の81億52百万円、親会社株主帰属四半期純利益が28.8%減の42億20百万円だった。売上面は需要が堅調に推移して増収だが、利益面は将来を見据えた人財投資、グループ内での吸収合併に伴う減価償却費の増加、販管費の増加などにより減益だった。

 建設関連事業は、売上高が4.2%増の1311億08百万円で、営業利益(調整前)が16.8%減の65億98百万円だった。需要面では国内建設投資が底堅く推移し、建機レンタル需要も全体として堅調だった。中古建機販売については、レンタル用資産の運用期間延長を進めつつ、適正な資産構成の維持に向けて期初計画に基づいた売却を進めているため9.1%減収だった。その他事業は、売上高が8.5%増の140億47百万円で、営業利益が10.1%減の7億77百万円だった。鉄鋼関連、情報関連、福祉関連とも概ね計画水準で推移した。

 四半期別にみると、第1四半期は売上高495億08百万円で営業利益30億96百万円、第2四半期は売上高477億60百万円で営業利益22億31百万円、第3四半期は売上高478億87百万円で営業利益24億28百万円だった。なお季節要因として、売上高は第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する傾向がある。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年10月期比5.3%増の1980億円、営業利益が5.8%増の140億円、経常利益が2.3%増の141億円、親会社株主帰属当期純利益が0.7%増の84億円としている。配当予想は22年10月期と同額の75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。

 全体として建設機械レンタル需要が緩やかに回復することを見込み、先行投資による費用増を吸収して増収増益予想としている。レンタル用資産稼働率向上に加えて、レンタル単価適正化なども推進する方針だ。

 第3四半期累計が減益となり、通期予想に対する進捗率は売上高73%、営業利益55%、経常利益58%、親会社株主帰属当期純利益50%とやや低水準だが、第4四半期の構成比が高いことを勘案すれば通期会社予想の達成は可能だろう。災害復旧・防減災・老朽化インフラ更新など国土強靭化関連工事で需要が堅調であり、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は年初来高値更新の展開

 株価は水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。目先的には第3四半期累計減益を嫌気する可能性もあるが、1倍割れのPBRも評価材料であり、目先的な売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。9月8日の終値は2631円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS231円28銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3571円98銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約1019億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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