【編集長の視点】リョービは業績上方修正・連続増配のバリュー面からも押し目買い一法

■今期は半導体不足解消と円安で業績上振れ

 リョービ<5851>(東証プライム)は、前日20日朝方に40円高の3320円と買われ前々日に続き年初来高値を更新したが、大引けでは15円安の3265円と変わらずを含めて4営業日ぶりに反落した。同社株は、前々日にトヨタ自動車<7203>(東証プライム)が、EV(電気自動車)の超大型部品を一体成型する「ギガキャスト」向けの新設設備を報道陣に公開したことに関連してストップ高しており、この日は日経平均株価が、218円安と続落したことから上値で目先の利益を確定する売り物が交錯した。ただ同社の今2023年12月期業績は、今年7月20日に上方修正され期初の減益転換予想が連続増益となり、配当も連続増配を予定しており、この好実態に同社自体も「ギガキャスト」向けに導入するダイカストマシンのモデルを決定したことも加わり、一服場面は割安修正期待で押し目買いも一法となりそうだ。

■半導体供給制約解消で自動車生産が回復し円安も寄与

 同社の今12月期業績は、期初予想より売り上げを40億円、営業利益を30億円、経常利益を46億円、純利益を29億円それぞれ引き上げ、売り上げ2700億円(前期比8.2%増)、営業利益105億円(同50.7%増)、経常利益120億円(同54.0%増)、純利益84億円(同75.6%増)と見込み、前期業績の黒字転換に続く大幅続伸となる。半導体の供給制約解消から日米欧、アジアでの自動車生産が回復し、ダイカスト事業の売り上げが2357億円(同9.3%増)、セグメント利益が95億円(同81.5%増)と好調に推移することが要因となる。なおこの通期業績予想の為替レートは、1ドル=135円を想定しているが、足元の為替相場は、1ドル=147円台とさらに円安・ドル高となっており、1ドル=1円の為替変動で営業利益が1億円変動する為替感応度からもさらに業績上ぶれ余地があることになる。

 今期配当は、期初予想の年間50円(前期実績45円)から70円に増配を予定し、連続増配幅を拡大させる。なお「ギガキャスト」向けのダイカストマシンの導入については、約50億円を投資して同社菊川工場内に設置して2025年3月から供給開始を計画しており、このモデルをUBEマシナリーの6000トンプレスに決定した。

■ミニGC示現の上昇トレンド不変でPER11倍、PBR0.7倍の修正に弾み

 株価は、今期第1四半期の減益転換着地で1436円と下ぶれたが、売られ過ぎ修正で下値を切り上げ、今期業績の上方修正と増配で3070円と上値を伸ばし、「ギガキャスト」関連人気で3100円高値まで買い進まれ、5日線が25日線を下から上にブレークするミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では、トヨタ関連人気でストップ高を交えて年初来高値3320円まで買われ小反落したが、下値では5日線は維持し上昇トレンド継続となっている。PERは12.5倍、PBRは0.78倍となお割安である。年初来高値抜けから上値チャレンジに弾みをつけよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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