【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トレジャー・ファクトリーじゃ既存店売上が好調、16年2月期業績予想は増額含み

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップをチェーン展開し、新業態の開発や買い取り強化に向けたアライアンス戦略も積極推進している。株価は悪地合いの影響で急落する場面があったが売り一巡感を強めている。既存店売上の好調が牽引して16年2月期業績予想は増額含みだ。切り返す展開だろう。

■リユースショップを首都圏中心にチェーン展開、関西へもドミナント出店

 首都圏を中心として、総合リユース業態「トレジャー・ファクトリー」や服飾専門リユース業態「トレファクスタイル」などのリユースショップを直営店中心にチェーン展開している。

 15年2月期末時点の店舗数は直営総合業態「トレジャー・ファクトリー」50店舗、直営服飾業態「トレファクスタイル」24店舗、新業態の古着アウトレット業態「ユーズレット」1店舗、スポーツ・アウトドア業態「トレファクスポーツ」1店舗、事業を譲り受けた「ブランドコレクト」業態2店舗、およびFC総合業態「トレジャー・ファクトリー」4店舗の合計82店舗である。

 中期成長戦略として、多店舗展開(複数の業態を組み合わせて年間10店舗程度の新規出店、および関西地域でのドミナント出店)、既存店活性化(店舗移転・リニューアルによる収益力改善、既存店の売上総利益率改善)、ネットへの取り組み強化(宅配買い取りの強化、ネット経由の販売強化)、そして新業態開発を推進している。

 関西地域でのドミナント出店については、13年5月に総合業態の関西1号店・神戸新長田店をオープンした。そして15年2月には服飾業態の関西旗艦店となるアメリカ村店(大阪市中央区)をオープンして、関西圏の店舗数は合計6店舗となった。

■新業態の開発・出店も積極化

 新業態はスポーツ・アウトドア用品専門業態「トレファクスポーツ」1号店の横浜市・青葉台店を14年9月にオープンし、ネット通販も強化して13年4月に楽天市場へ出店した。また新規事業として10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営している。

 14年10月にはファーストザウェーブ社の「ブランドコレクト」事業(ウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店)を譲り受け、15年1月原宿2号店をオープンした。ネットでの事業展開を加速するとともに、ハイブランド・高価格帯のブランド古着に特化した都心型店舗の新業態としてファッションカテゴリーを強化する。

 また15年8月には「ブランドコレクト」が、サイバーエージェント<4751>の運営する国内最大級のユーズドショッププラットフォーム「Ameba古着屋」に出店した。

■買い取りサービスを強化

 アライアンスも積極活用して買い取りサービスを強化している。15年2月に不動産賃貸仲介大手のハウスコム<3275>、8月にミニミニ(東京都)と業務提携した。ハウスコム店舗、ミニミニ店舗で契約したお客様限定で、引越と不用品買い取りの一括対応サービス「トレファク引越」を割引料金で提供して買い取りを強化する。

 15年6月には、大規模マンションの管理組合を対象にした新サービス「リユースコンシェルジュ for mansion」を開始した。マンション内のコンシェルジュデスク等を介して不用品回収・買い取りなどのサービスを提供する。

 また9月7日には、引越と不用品買い取りの一括対応サービス「トレファク引越」について、オフィス移転にも対応し、対象エリアも関東・関西・九州エリアに東海エリアが加わると発表した。

■16年2月期増収増益基調で増額含み

 15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)25億82百万円、第2四半期(6月~8月)23億36百万円、第3四半期(9月~11月)28億85百万円、第4四半期(12月~1月)28億79百万円、営業利益は第1四半期3億51百万円、第2四半期77百万円、第3四半期3億43百万円、第4四半期1億84百万円だった。

 既存店の売上総利益率は第1四半期66.8%、第2四半期65.9%、第3四半期66.5%、第4四半期63.4%だった。第1四半期と第3四半期は、引越シーズンなどで利益率の高い家電製品や家具の構成比が高まるため、売上総利益率が高くなるという季節要因があるようだ。

 また15年2月期の配当性向は17.7%だった。ROEは14年2月期比2.4ポイント上昇して21.0%、自己資本比率は同0.3ポイント上昇して58.5%、だった。

 7月10日に今期(16年2月期)第2四半期累計(3月~8月)非連結業績予想を増額し、売上高は前年同期比13.4%増の55億77百万円、営業利益は同5.0%増の4億52百万円、経常利益は同3.7%増の4億61百万円、純利益は同9.9%増の2億68百万円とした。

 通期の非連結業績予想については前回予想(4月10日公表)を据え置いて売上高が前期比10.9%増の118億53百万円、営業利益が同8.2%増の10億39百万円、経常利益が同8.8%増の10億52百万円、純利益が同11.4%増の6億31百万円としている。

 配当予想は中間配当を開始して年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)としている。15年6月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間18円を年間9円に換算すると実質的に前期比2円増配となる。予想配当性向は19.5%となる。なお配当性向については当面の目標を25%としている。

 既存店は前期並みの増収率(7.9%増)と売上総利益率(65.6%)の達成を目指し、新規出店は11~13店舗の計画だ。中部地域や北関東など新規エリアへの出店も検討するようだ。知名度上昇、新業態を含めた積極的な新規出店、既存店の収益力強化、大口仕入や出張買い取りの強化、さらにネット事業の強化、売上総利益率の上昇などで増収増益基調だろう。

 第1四半期(3月~5月)は売上高が前年同期比16.6%増の30億11百万円、営業利益が同12.1%増の3億95百万円、経常利益が同12.4%増の4億01百万円、純利益が同14.4%増の2億32百万円だった。

 既存店売上高が同7.2%増収と好調に推移した。1件あたり販売単価の上昇も寄与した。なお前期まで営業外収益で計上していた引越事業の仲介手数料収入について、事業が本格化して重要性が高まったため16年2月期から売上高に計上している。15年2月期第1四半期は0.8百万円、16年2月期第1四半期は4百万円だった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.4%、営業利益が38.0%、経常利益が38.1%、純利益が36.8%である。第1四半期と第3四半期の売上総利益率が高くなる季節要因を考慮しても高水準である。既存店の好調が牽引して通期業績の会社予想も増額含みだろう。

■既存店売上が好調

 なお月次売上(直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、15年8月は全店114.4%、既存店105.7%だった。既存店売上は14年3月から17ヶ月連続の前年比プラスと好調に推移している。そして15年3月~8月累計は全店115.6%、既存店106.9%となった。

 好調な仕入も背景として販売単価の高い生活家電、家具、衣料の好調が続いている。新規出店は3月0店舗、4月1店舗、5月0店舗、6月1店舗、7月1店舗、8月1店舗(上期合計4店舗)で、15年8月末時点の店舗数は合計86店舗となった。

 8月28日に服飾業態「トレファクスタイル川越店」を移転し、古着アウトレット業態2号店「ユーズレット本川越店」(埼玉県川越市)としてオープンした。また9月10日にはスポーツ・アウトドア用品業態2号店「トレファクスポーツ柏店」(千葉県柏市)をオープンする。

 リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて国内主要都市への新規出店や業態の多様化を加速させる方針だ。首都圏や関西圏を中心に年間10店舗程度の新規出店で100店舗体制構築を当面の目標としている。既存店の収益力強化策や新業態・新規事業の積極展開も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

■株価は売り一巡して切り返し

 株主優待制度については毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買い取りサービスで利用できる「買い取り金額アップクーポン」をセットにしている。

 株価の動き(14年9月1日付で株式2分割、15年6月1日付で株式2分割)を見ると、悪地合いの影響で1400円~1500円近辺でのモミ合いから下放れ、8月25日には1060円まで急落する場面があったが、その後は切り返しの動きを強めている。9月9日には1399円まで戻した。目先的な売りが一巡したようだ。

 9月9日の終値1392円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS56円38銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS263円60銭で算出)は5.3倍近辺である。なお時価総額は約156億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線割れ水準では下ヒゲをつけて徐々に下値を切り上げている。また日足チャートで見ると25日移動平均線を回復する動きだ。目先的な売りが一巡し、16年2月期業績予想の増額含みを評価して切り返す展開だろう。

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