【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アドアーズは下値固め完了、収益改善基調を評価して出直り

銘柄分析

 アミューズメント事業や不動産事業を展開するアドアーズ<4712>(JQS)の株価は、9月の戻り高値189円から反落し、11月上旬に日本介護福祉グループに対するM&Aを好感する場面があったが、買いが続かず調整局面の形だ。ただし11月以降は概ね130円~140円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

 13年2月に、親会社Jトラスト<8508>グループで戸建て住宅分譲や商業建築など展開するキーノート、アミューズメント施設向け景品製作・販売など展開するブレイクを子会社化し、Jトラストグループ内で建築・不動産事業とアミューズメント事業の中核を担う位置付けとなった。アミューズメント事業ではメダルゲームジャンルを注力分野として収益改善を目指し、新業態開発やゲーム景品製造も強化している。不動産事業では不動産アセット部門を強化している。

 14年9月には、韓国でカジノ事業を展開するJBアミューズメント(JBA、韓国KOSDAQ市場上場)が実施する第三者割当増資を引き受けると発表した。出資比率9.49%で第2位株主となる。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す方針だ。

 また14年11月には通所介護事業および当該事業のフランチャイズ事業などを展開する日本介護福祉グループを連結子会社化して介護事業に参入した。日本介護福祉グループは主に「茶話本舗」ブランドで日本全国797拠点(通所介護直営45事業所、通所介護FC710事業所など)を展開し、デイサービス施設運営企業として業界最大手である。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比4.3%増の240億円、営業利益が同31.7%減の9億円、経常利益が同35.8%減の7億50百万円、純利益が同47.0%減の5億円、配当予想が前期と同額の年間2円(期末一括)としている。アミューズメント事業でスマートフォン等の無料ソーシャルゲームの影響、不動産事業の戸建て分譲部門で消費増税の影響を考慮して減益見通しとしている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比3.8%増収、同10.4%営業減益、同10.2%経常減益、同21.5%最終減益だった。アミューズメント事業が軟調で減益だったが、不動産事業が堅調に推移した。そして通期見通しに対する進捗率は売上高が49.1%、営業利益が79.1%、経常利益が87.1%、純利益が113.4%と高水準である。通期ベースでは前期の利益を大幅に押し上げた不動産アセット部門の反動減も影響するが、収益は改善基調だろう。

 アミューズメント施設の既存店売上高(前年比、速報値)を見ると、14年11月は104.5%だった。女性向け景品が人気のプライズゲームの好調が牽引して前年比プラスに転じた。なお消費増税による売上減少を除いた実質既存店前年比は107.5%としている。

 株価の動きを見ると、9月の戻り高値189円から反落し、日本介護福祉グループに対するM&Aを好感して11月5日に145円まで上伸する場面があったが、買いが続かず調整局面の形だ。ただし11月以降は130円~140円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。

 12月15日の終値132円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円59銭で算出)は37倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS78円77銭)は1.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、130円近辺が下値支持線のようだ。収益改善基調を評価して出直り展開だろう。

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