【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースは中期成長力を評価してレンジ下限から反発局面

銘柄分析

 ネット広告やソーシャルアプリを展開するインタースペース<2122>(東マ)の株価は、今期(15年9月期)の減益見通しを嫌気した11月17日の直近安値911円から切り返し、概ね1000円~1100円近辺で推移している。大勢として900円~1400円のボックス展開だが、中期成長力を評価してレンジ下限から反発局面だろう。

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、コンテンツやソーシャルアプリなどのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」月間利用者数が200万人を突破し、ソーシャルアプリは女性向け恋愛ゲーム「愛しのショコラティエ」や「プリンセス・クローゼット」などを主力としている。

 中期成長に向けた目標数値として売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業では新規メディア立上げと収益化、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針だ。

 アライアンス戦略では13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキと戦略的業務提携、11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギーと資本業務提携、12月中国・上海の子会社ISUCが中国最大アフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)と業務提携した。

 また14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファに出資、7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズと業務提携、8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダーと資本提携した。

 11月27日にはインドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と独占業務提携してアフィリエイトサービス「アクセストレード」を独占提供すると発表した。さらに12月9日には子会社のmore gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで事業提携すると発表した。

 今期(15年9月期)の連結業績見通し(11月11日公表)は、売上高が前期比13.2%増の190億円、営業利益が同15.5%減の6億60百万円、経常利益が同17.2%減の6億54百万円、純利益が同26.3%減の2億84百万円、そして配当予想が前期と同額の年間8円(期末一括)としている。

 セグメント別に見ると、主力のインターネット広告事業はスマートフォン広告が増加基調で同11.8%増収だが、既存のアフィリエイトサービスの再改革(カテゴリー強化)や新サービス開発に向けた人材投資などで同4.3%営業減益の計画としている。メディア運営事業では、ママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」など収益性の高い自社メディアを強化して同29.5%増収で、営業赤字もやや縮小する計画だ。海外事業は東南アジアNO.1アフィリエイトサービスに向けた先行投資で営業赤字幅がやや拡大する計画としている。

 株価の動きを見ると、今期の減益見通しを嫌気した11月17日の直近安値911円から切り返し、インドネシア大手ポータルサイトとの提携を好感して11月28日には1355円まで急伸する場面があった。また12月9日には1243円まで急進する場面もあった。ただし買いが続かず概ね1000円~1100円近辺で推移している。

 12月15日の終値1040円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円96銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS406円20銭で算出)は2.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると8月の戻り高値1467円に届かず上値を切り下げたが、900円近辺に下値支持線があり、大勢として900円~1400円のボックス展開の形だ。中期成長力を評価してレンジ下限から反発局面だろう。

>>インタースペースのMedia-IR企業情報

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