京写は24年3月期3Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

(決算速報)
 京写<6837>(東証スタンダード)は1月31日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。自動車向けプリント基板の受注回復、ベトナムの黒字化、実装関連の好調、為替の円安効果、中国におけるコスト改善などにより大幅増益だった。そして通期大幅増益予想を据え置いた。第3四半期累計の進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急反発して戻り高値圏だ。第3四半期累計決算に対してはややネガティブ反応となったが、好業績に加えて指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期3Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

 24年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比3.2%増の186億82百万円、営業利益が105.9%増の9億21百万円、経常利益が44.2%増の6億02百万円、親会社株主帰属四半期純利益が106.3%増の3億80百万円だった。主力の自動車向けプリント配線板の受注回復、ベトナムの黒字化、実装関連の好調、為替の円安効果、中国におけるコスト改善などにより大幅増益だった。

 地域別セグメント業績(内部取引含む)は、日本の売上高が12.3%増の80億64百万円で営業利益が141.3%増の1億96百万円、中国の売上高が1.8%減の99億13百万円で営業利益が6.6%増の6億17百万円、インドネシアの売上高が23.6%減の15億76百万円で営業利益が66百万円の損失(前年同期は26百万円の損失)、メキシコの売上高が29.5%増の95百万円で営業利益が3百万円(同0百万円)、ベトナムの売上高が95.3%増の27億75百万円で営業利益が1億78百万円(同1億67百万円の損失)だった。

 日本では自動車向けプリント配線板が回復傾向となった。また実装関連では新規市場開拓により通信機器向けが大幅に増加した。海外はベトナムにおいて自動車関連配線板の受注が大幅に増加した。サプライチェーン体制再編により、自動車関連の北米向けを中国からベトナムに移管したことも寄与した。中国とインドネシアは事務機向け配線板などが減少したが、中国では高付加価値の金属基板の増収効果や受注減少に合わせたコスト改善効果で増益だった。

 製品別売上高は、片面板が10.4%減の76億46百万円、両面板(多層板、銀スルーホール基板含む)が14.2%増の85億67百万円、実装関連が30.9%増の19億09百万円、その他が10.0%減の5億59百万円だった。両面板、実装関連は過去最高の売上高となった。

 用途別売上高は、主力の自動車関連が30.4%増の85億91百万円、家電製品が6.5%減の34億52百万円、事務機関連が25.1%減の19億92百万円、電子部品が29.7%減の11億69百万円、電気機器が34.2%減の5億23百万円、その他(映像機器、音響機器、アミューズメント等)が16.6%減の10億46百万円、実装関連が30.9%増の19億09百万円だった。なお実装関連の用途別構成比は産業機器45.5%、航空機13.2%、通信機器10.6%、自動車8.7%、電子部品6.3%、その他15.7%だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高61億11百万円で営業利益3億41百万円、第2四半期は売上高60億19百万円で営業利益2億90百万円、第3四半期は売上高65億52百万円で営業利益2億90百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比2.2%増の250億円、営業利益が48.8%増の10億円、経常利益が34.0%増の8億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が特別損失一巡で5億60百万円(23年3月期は4億85百万円の損失)としている。配当予想は23年3月期比6円増配の9円(期末一括)としている。予想配当性向は23.1%となる。

 売上面は不透明感を考慮して小幅増収だが、利益面はベトナム子会社の生産量増加・稼働率上昇や生産性向上などで大幅増益予想としている。第3四半期累計の進捗率は売上高が75%、営業利益が92%、経常利益が73%、親会社株主帰属当期純利益が68%と高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は急反発して戻り高値圏だ。第3四半期累計決算に対してはややネガティブ反応となったが、好業績に加えて指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。2月1日の終値は437円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円97銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の9円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS502円53銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約64億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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