日本エム・ディ・エムは24年3月期予想据え置き

(決算速報)
 日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は1月31日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。売上面は日本国内、米国とも好調に推移して増収だが、利益面はインフレに伴う調達コストの上昇、為替の円安影響、日本国内における償還価格引き下げの影響などで減益だった。通期予想は据え置いた。売上原価率の悪化を見込み減益予想としている。第3四半期累計の進捗率はやや低水準の形だが、営業利益は第2四半期をボトムとして回復傾向であることを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能と考えられる。そして積極的な事業展開で25年3月期の収益改善を期待したい。株価は23年11月の安値をボトムとして下値を切り上げている。円安のマイナス影響を織り込み済みであり、1倍割れの低PBRも評価材料だろう。出直りを期待したい。

■24年3月期3Q累計減益、通期減益予想据え置き

 24年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比8.8%増の169億93百万円、営業利益が21.7%減の11億83百万円、経常利益が20.6%減の12億25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.6%減の7億32百万円だった。

 売上面は日本国内での獲得症例数伸長や米国での新規顧客開拓による人口膝関節製品の獲得症例数伸長などにより増収だが、利益面はサプライチェーン上の問題を回避するための外部ベンダー活用、インフレに伴う調達コストの上昇、為替の円安影響、日本国内における償還価格引き下げの影響、さらに支払手数料、人件費、販促費の増加などで減益だった。

 セグメント別(調整前)に見ると、日本は売上高が6.2%増の95億41百万円で営業利益が1.1%増の8億33百万円、米国は売上高が11.8%増の105億10百万円で営業利益が43.5%減の3億28百万円だった。なお米国の外部顧客向け売上高は、USドルベースでは6.4%増の52百万円USドル、円換算後では12.2%増の74億52百万円だった。米国売上の為替換算レートは前年同期が1USドル=135.41円、当期が1USドル=142.76円だった。

 医療機器類の品目別・地域別売上高(円換算後)は、人工関節は日本が5.3%増の36億29百万円、米国が12.3%増の74億27百万円、骨接合材料(日本)は7.1%増の33億15百万円、脊椎固定器具(日本と米国の合計)は4.6%増の24億97百万円だった。なお自社製品比率は前年同期比0.5ポイント低下して80.3%となった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高54億02百万円で営業利益3億46百万円、第2四半期は売上高55億50百万円で営業利益2億71百万円、第3四半期は売上高60億41百万円で営業利益5億66百万円だった。営業利益は第2四半期をボトムとして回復傾向である。

 通期連結業績予想(23年10月30日付で売上高を上方修正、利益を下方修正)は、売上高が23年3月期比10.8%増の236億円、営業利益が11.1%減の18億円、経常利益が9.5%減の18億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が19.2%減の11億50百万円としている。下期の想定為替レートは1USドル=150円(前回予想は1USドル=135円、23年3月期実績は1USドル=134.95円)としている。配当予想は23年3月期比1円増配の14円(期末一括)としている。連続増配予想で予想配当性向は32.0%となる。

 売上面は、日本国内では施設限定販売している一部新製品の全国展開遅延の影響、米国では人工股関節の大型新製品のFDA承認取得遅延の影響を受けるが、全体としては獲得症例数伸長や為替の円安影響により2桁増収の見込みとしている。利益面については、研究開発費を除く販管費の圧縮などを推進するものの、下期も上期と同様に売上原価率の悪化を見込み、全体として減益予想としている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高72%、営業利益66%、経常利益66%、親会社株主帰属当期純利益64%とやや低水準の形だが、営業利益は第2四半期をボトムとして回復傾向であることを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能と考えられる。そして積極的な事業展開で25年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は23年11月の安値をボトムとして下値を切り上げている。円安のマイナス影響を織り込み済みであり、1倍割れの低PBRも評価材料だろう。出直りを期待したい。2月1日の終値は730円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS43円71銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS880円64銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約193億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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