【特集】アベノミクス・少子化対策および子育て支援関連

■20年に向けたアベノミクス「新たな3本の矢」

特集 安倍晋三首相は9月24日、自民党総裁に正式再選された後の記者会見で、2020年に向けた経済成長の推進役となるアベノミクス成長戦略の「新たな3本の矢」として、希望を生み出す強い経済(目標:GDP600兆円)、夢を紡ぐ子育て支援(目標:合計特殊出生率1.8)、安心につながる社会保障(目標:介護離職ゼロ)を打ち出した。

 このうちの子育て支援については「日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と意気込みを示した。そして50年後も人口1億人を維持することを目指して、現在1.4程度の合計特殊出生率を1.8まで回復させる目標を掲げた。

 目標達成に向けて、子育てにかかる経済的負担の軽減、幼児教育の無償化、結婚支援、不妊治療支援などに取り組む方針で、さらに奨学金の拡充、ひとり親家庭の支援にも言及した。

 女性活用推進・子育て支援および保育所待機児童解消は、12年末の第2次安倍政権発足以来の重点戦略であり、特に目新しいテーマとは言えないが、アベノミクス成長戦略の「新たな3本の矢」として打ち出されたことで、あらためて子育て支援関連が注目度を高めそうだ。

■保育所待機児童解消に向けた取組を加速

 全国の保育所利用児童数は増加基調で、待機児童数は緩やかに減少傾向となっているが依然として解消せず、潜在需要も顕在化して首都圏や地方主要都市など、都市部を中心に保育サービスの需要は高水準である。

 アベノミクス成長戦略では「女性活用推進」「子育て支援」を重点分野に位置付け、保育所待機児童解消に向けた取組として、17年度末までに潜在的ニーズを含めて約40万人分の保育の受け皿を確保することで待機児童解消を目指している。

 まず13~14年度を「緊急集中取組期間」として約20万人分の保育の受け皿を確保し、さらに約20万人分の保育の受け皿を確保するために、15~17年度を「取組加速期間」と位置付けて、15年4月に「子ども・子育て新支援制度」がスタートした。

 保育所運営においては保育士の確保が課題になっているが、国家戦略特区における保育士試験の年2回実施など、規制緩和、制度面での支援、運営補助金拡大などの動きが活発化している。

 また結婚支援サービスについては社会的認知度が高まっている。アベノミクス成長戦略の「新たな3本の矢」として打ち出されたことで、関連企業にとって強い追い風となりそうだ。

【主要関連企業(保育所、結婚支援、育児・ベビー用品)】

 ツヴァイ<2417>、JPホールディングス<2749>、リンクバル<6046>、サクセスホールディングス<6065>、IBJ<6071>、西松屋チェーン<7545>、ピジョン<7956>、ユニ・チャーム<8113>、学研ホールディングス<9470>など

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る