【注目銘柄】ゼリア新薬工業は3Q高利益進捗率業績を手掛かりに通期業績の上方修正期待高まる

■潰瘍性大腸炎治療剤とヘパリーゼ群が業績を牽引

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は、祝日前の19日に10円高の2197円と4営業日続伸して引け、取引時間中には2200円まで買われ2月2日につけた年初来高値2270円に肉薄した。今年2月1日に発表した今2024年3月期第3四半期(2023年4月~12月期、3Q)業績が、2ケタ増益と続伸し、すでに今3月期通期予想業績を上回る高進捗率を示したことを手掛かりに、通期業績の上方修正を催促する割安株買いが増勢となった。テクニカル的にも、昨年6月の昨年来高値2600円から同11月の昨年来安値1880円までの調整幅の半値戻しを達成しており、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに昨年来高値奪回が期待されている。

■潰瘍性大腸炎治療剤が海外市場で好調に推移し「ヘパリーゼ群」も順調

 同社の今期3Q業績は、売り上げ579億1900万円(前年同期比12.0%増)、営業利益94億9000万円(同11.0%増)、経常利益94億4400万円(同35.7%増)、純利益84億2300万円)で着地した。医療用医薬品では、主力の潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が、国内では2023年4月の薬価改定の影響で苦戦したが、欧米各国など海外市場で好調に推移して売り上げが375億4800万円(同15.8%増)となり、コンシューマーヘルス事業では、主力製品の「ヘパリーゼ群」が、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行して経済活動の正常化、人流の回復などで売り上げが202億5500万円(同5.6%増)と順調に推移したことなどが要因となった。また為替相場の影響で前期に計上した為替差損が少額にとどまったことも寄与した。

 この3Qの利益は、今3月期通期予想の利益をすでに3億3900万円~14億2300万円も上回る高利益進捗率を示した。ただ同社は、第4四半期の為替動向が不透明として通期業績は期初予想を据え置き売り上げ730億円(前期比6.8%増)、営業利益91億円(同0.9%増)、経常利益90億円(同18.7%増)、純利益70億円(同13.0%増)と見込んでいる。この期初予想でも純利益は、連続の過去最高更新となるが、3Qの上ぶれ着地業績からは期末に掛けての上方修正期待も高まってくる。

■GC示現で相場格言通りに昨年来高値調整幅の「半値戻しは全値戻し」に拍車

 株価は、今期業績の連続過去最高更新・連続増配に反応して昨年6月に昨年来高値2600円まで買い進まれたが、今期第2四半期累計業績が、期初予想をやや下ぶれて着地したことで昨年来安値1880円まで調整した。同安値からは売られ過ぎとして底上げし、今期3Qの好決算を手掛かりに窓を開けて急伸し、2270円の戻り高値をつけ25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆した。この戻り高値は、昨年来高値から同安値への調整幅の半値戻し水準でPERも13.7倍となお割安であり、相場格言の「半値戻しは全値戻し」の通りに昨年来高値へキャッチアップしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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