【注目銘柄】興研は新型コロナ感染の「第3波」懸念でマスク増産を買い直して反発

注目銘柄

興研<7963>(JQS)は、前日9日に10円高の2330円と3営業日ぶりに急反発して引けた。新型コロナ感染症の1日当たりの新規感染者が、11月に入って北海道で初めて200人と急増しているほか、東京都内でも再拡大し、感染の「第3波」到来も懸念され始めたことから、米国N95規格の高性能マスク「ハイラック」シリーズの増産を着々と進めている同社株に、今年1月、3月、8月のストップ高を交えた急騰劇の再現を期待する買い物が再燃した。今2021年3月期業績が上方修正され、配当も大幅増配される好実態も見直されている。

■増産の1ラインが稼働を開始し残り3ラインも順次稼働

 同社は、「ハイラック」シリーズの高性能マスクをタイと国内で生産しているが、一時、タイ政府がマスクの国外輸出許可を停止したことから国内の生産能力の増強を進めている。国内工場の生産ラインに新規に3億円の設備投資をして月間60万枚の生産産能力を増強、国内外合わせた生産能力は現在の月産140万枚を200万枚とする。このうち今年9月から増設ライン1ラインが生産を開始し、残り3ラインも来年1月まで順次、稼働を開始する。

 またオープンクリーンシステム「KOACH」では、新型コロナウイルス感染症対策の「Stand KOACH Mz」を開発し医療機関向けに供給を開始する。同製品は、独自の高性能フィルタと高度な整流技術によって世界最高レベルの清浄空間を実現し、医療従事者が対面診療時に患者の飛沫や浮遊ウイルスから医療従事者を守り、オープンな診察室内にクリーンスペースを確保することを可能にしている。11月に入り東京都内の新規感染者が、1週間平均の1日当たり201.7人に急増し、8月29日以来の200人超となり、今年春先の「第1波」、8月の「第2波」に次ぐ「第3波」の到来も懸念され、医療現場の対応も急がれているだけに注目を集めそうだ。

 一方、今2021年3月期業績は、第2四半期(2020年4月~9月期、2Q)累計業績を2回上方修正、3月期通期業績を一時未定と変更したが、10月29日に開示し、売り上げ99億円(前期比15.0%増)、営業利益9億7000万円(同70.8%増)、経常利益9億3000万円(同75.9%増)、純利益6億8000万円(同83.0%増)と大幅続伸し期初予想を上方修正することとなった。配当も、特別配当20円を上乗せして年間45円(前期実績25円)への大幅増配を予定している。

■8月ストップ時の窓埋めは最終場面で急騰相場の「第4波」に挑戦

 株価は、今年1月に再三のストップ高を交えて年初来高値4380円まで買われて年初来安値1386円から3.1倍の大化けを演じた。その後のコロナ・ショック相場では1958円安値に突っ込んだが、国内のマスク製造・販売が1.8倍~2倍で推移した3月に再びストップ高を伴って2989円の戻り高値までリバウンドした。さらに2Q累計業績の上方修正では、ストップ高を交えて窓を開けて2982円高値へリバウンドして戻り高値で押し戻され、足元ではこの時に開けた窓埋めの最終場面となっている。寒気の強まりによる感染拡大の「第3波」到来懸念で、急騰相場の「第4波」へのチャレンジも有力であり、下値での待機買い妙味を示唆している。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る