円安の波が中小企業を直撃、倒産件数急増|東京商工リサーチ調査

■卸売業を中心に83件、前年比1.6倍の倒産

 東京商工リサーチが発表した2024年の「円安」関連倒産は、前年比1.6倍の83件に急増した。特に卸売業が全体の44.5%を占め、円安による輸入商品・製品や原材料などの価格上昇が収益を圧迫し、中小企業の経営を直撃している。負債総額は大幅に減少したものの、価格転嫁が難しい中小企業は、長引く円安で体力を消耗し、倒産に追い込まれる可能性が高まっている。

■価格転嫁困難、中小企業の経営を圧迫

 2024年は、円安が急速に進み、6月には1ドル=160円台にまで達するなど、中小企業の経営を大きく揺るがした。特に、輸入に依存する卸売業や小売業は、仕入コストの上昇に苦しみ、収益が大幅に減少した。

 今回の調査で注目すべきは、負債総額が前年比で大幅に減少している点である。これは、倒産する企業の規模が小さくなっていることを示唆しており、中小・零細企業が特に厳しい状況に置かれていることがわかる。

【事例】
 大賀株式会社:老舗の紳士服メーカーだが、コロナ禍によるスーツ需要の減少に加え、円安による仕入コストの上昇が追い打ちとなり、民事再生法を申請。
 株式会社A-ONE:冷凍魚介類の販売会社。円安による輸入コストの上昇と、不適切取引の噂が重なり、破産。
 (有)グランブルー:海外ブランドの輸入販売会社。コロナ禍と円安の影響で経営が悪化し、破産。

 2024年の円安は、中小企業の経営に深刻な影響を与え、多くの倒産を引き起こした。特に、価格転嫁が難しい中小企業は、長引く円安に耐え切れず、経営破綻に追い込まれる可能性が高まっている。政府や金融機関は、中小企業に対する支援策を強化し、円安の影響を緩和するための対策を講じる必要がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京・愛知・兵庫で屋外広告も掲出、号外や無料バッティング企画も実施  Major League …
  2. ■新生児対象の臨床試験で抗炎症作用と菌叢改善を実証  森永乳業<2264>(東証プライム)は7月2…
  3. ■「日本栄養・食糧学会大会」で研究成果発表、科学的根拠を提示  味の素<2802>(東証プライム)…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■東証市場、主力株急落と中小型株逆行高で投資戦略二極化  証市場は9月19日に主力株の急落と中小型…
  2. どう見るこの相場
    ■プライム市場の需給悪化を警戒し、個人投資家は新興市場へ資金を逃避  「桐一葉 落ちて天下の秋を知…
  3. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  4. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  5. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  6. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る