
■日米の金融政策に明確な方向性の違い
10月30日、日米の金融政策が明確な方向性の違いを示した。日銀は政策金利を0.5%程度で据え置き、FRBは0.25%の利下げを決定した。政策スタンスの差は為替、株式、債券市場に影響を及ぼしており、円安基調の継続と市場の不安定化が意識されている。
■日銀は政策金利据え置き、高市政権は物価安定を優先
日銀は今年1月の利上げ以降、追加利上げを見送っている。米国の関税強化による世界経済の減速懸念と、高市政権が物価安定を優先する姿勢が背景にある。円安進行で輸入物価が上昇する中、日銀は為替を通じたインフレ圧力を警戒。長期金利は0.8%前後で安定し、国債買い入れの継続を見込む。為替市場では金利差を意識した円売り・ドル買いが強まり、円相場は140円台後半に接近する可能性がある。株式市場では輸出株が堅調に推移する一方、内需株や金融株は上値の重い展開となっている。
■FRBは利下げで景気下支え、追加緩和には慎重
米国ではFRBが政策金利を3.75~4.00%へ引き下げた。労働市場の減速や低所得層への影響拡大を踏まえ、緩和姿勢を維持しているが、12月以降の追加利下げには慎重だ。パウエル議長は「霧の中の運転」と表現し、景気と物価の両立を模索する姿勢を示した。米債券市場では長期金利が4%を下回り、株式市場では利下げ好感と景気懸念が交錯。トランプ政権の関税再強化策が短期的なインフレ要因となる一方、中長期的には沈静化が見込まれる。
■為替・市場動向、年内は円安安定も来年前半は調整局面へ
ドル円相場は145~150円のレンジで推移し、年内は円安基調の中で安定局面を保つ見通しである。2026年前半には米経済の減速に伴い、135~140円台への円高調整が想定される。市場は日米金利差の動向、関税政策、賃金上昇の持続性に注目しており、両国の金融政策の温度差が世界市場の方向性を左右する見込みである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























