神鋼商事は25年3月期3Q累計増収増益で通期上振れ余地、株式分割を発表

 神鋼商事<8075>(東証プライム)は2月5日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。増収増益と順調だった。アルミ・銅ユニットの自動車用端子コネクターの好調などが牽引した。そして通期予想(24年11月7日付で営業利益を上方修正)を据え置いた。減益予想だが、第3四半期累計の進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお株式3分割(基準日25年3月31日、効力発生日25年4月1日)を発表した。株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。指標面の割安感も評価して出直りを期待したい。

■25年3月期3Q累計増収増益、通期減益予想だが上振れ余地

 25年3月期第3四半期累計(24年4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比7.3%増の4650億11百万円、営業利益が12.6%増の104億48百万円、経常利益が9.9%増の94億14百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が3.8%増の67億76百万円だった。

 鉄鋼、機械が減益だったが、アルミ・銅ユニットの自動車用端子コネクターの好調などが牽引した。営業外では為替差損が7億76百万円減少(前期は差損14億45百万円、当期は差損6億78百万円)したが、デリバティブ評価損益が8億90百万円悪化(前期は評価益11億99百万円、当期は評価損3億09百万円)した。特別利益では負ののれん発生益1億79百万円を計上した。

 セグメント別の経常利益を見ると、金属セグメントの鉄鋼ユニットは12.5%減の39億63百万円だった。売上面は半製品の受注増等で小幅増収だったが、利益面は取扱構成品目の変化や持分法投資利益の減少で減益だった。アルミ・銅ユニットは104.0%増の23億52百万円だった。取扱量の増加で大幅増収増益だった。銅製品は自動車用端子コネクターや空調用銅管、アルミ製品は店売りや空調アルミ管、非鉄原料はアルミ屑が増加した。原料ユニットは28.0%増の13億57百万円だった。大幅増収増益だった。神戸製鋼所向け主原料の価格が下落し、数量も減少したが、重点分野と位置付けている資源循環型ビジネスにおいて鉄スクラップ輸出数量が増加し、海外子会社における一過性利益も寄与した。

 機械・溶接セグメントの機械ユニットは6.1%減の12億68百万円だった。売上面は回転機メンテナンスや圧延ロール輸出の増加で小幅増収だが、中国の建機部品減少などで減益だった。溶接ユニットは12.1%増の5億49百万円だった。増収増益だった。溶接材料の取扱量が減少したが、販売単価上昇などが寄与した。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高1523億43百万円、営業利益36億86百万円、経常利益35億78百万円、第2四半期は売上高1543億33百万円、営業利益33億38百万円、経常利益25億31百万円、第3四半期は売上高1583億35百万円、営業利益34億24百万円、経常利益33億05百万円だった。

 通期連結業績予想(24年11月7日付で営業利益を上方修正)は据え置いて、売上高が24年3月期比5.3%増の6230億円、営業利益が7.5%減の123億円、経常利益が14.2%減の110億円、親会社株主帰属当期純利益が11.1%減の81億円としている。配当予想は24年3月期比15円減配の300円(第2四半期末150円、期末150円)としている。予想配当性向は32.6%となる。

 ユニット別の経常利益計画は、金属本部小計が8億円減の89億円(鉄鋼が7億円減の59億円、アルミ・銅が1億円減の15億円、原料が0億円減の15億円)で、機械・溶接小計が9億円減の21億円(機械が8億円減の15億円、溶接が1億円減の6億円)としている。その他は横ばいの0億円としている。

 鋼材等の市況については24年3月期並みの水準を想定し、鋼材価格の高値推移や鋼材取扱量の増加により増収だが、人件費や営業費などの増加により減益予想としている。ユニット別には、鉄鋼は前期の米国子会社における貸倒引当金戻入額一巡や販管費の増加を見込んでいる。アルミ・銅は低調だった中国での緩やかな回復を見込むが販管費の増加を見込んでいる。原料はバイオマス燃料の取り扱いが堅調に推移する見込みだ。機械は売上高が横ばいだが販売管理費の増加、溶接は取扱量の横ばい推移を見込んでいる。

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高75%、営業利益85%、経常利益86%、親会社株主帰属当期純利益84%である。第3四半期累計の進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 2月5日に株式3分割(基準日25年3月31日、効力発生日25年4月1日)を発表した。

 株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。指標面の割安感も評価して出直りを期待したい。2月5日の終値は6000円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS920円00銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の300円で算出)は約5.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS9770円13銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約532億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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