TACは25年3月期3Q累計大幅増益(黒字転換)、営業コスト構造の見直しや業務効率化の効果が寄与

 TAC<4319>(東証スタンダード)は2月6日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増益(黒字転換)だった。売上高は微増収にとどまったが、営業コスト構造の見直しや全社ベースの業務効率化の効果が寄与した。そして通期の黒字転換予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。株価は水準を切り上げて戻り歩調だ。1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期3Q累計大幅増益(黒字転換)

 25年3月期第3四半期累計連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比0.5%増の144億35百万円、営業利益が4億39百万円(前年同期は3億21百万円の損失)、経常利益が4億52百万円(同3億53百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が2億88百万円(同2億36百万円の損失)だった。売上高は微増収にとどまったが、営業コスト構造の見直しや全社ベースの業務効率化の効果が寄与した。

 個人教育事業は現金ベース売上高が1.9%増の77億51百万円で現金ベース営業利益が1億28百万円(前年同期は6億83百万円の損失)、法人研修事業は現金ベース売上高が0.4%減の34億88百万円で現金ベース営業利益が11.7%増の9億12百万円だった。

 受講者数は、個人受講者が0.5%増の9万3348人、法人受講者が1.6%減の7万4889人、合計が0.5%減の16万8237人となった。講座別受講者数(個人と法人の合計)は、簿記検定講座が3.5%増、税理士講座が2.3%増、不動産鑑定士講座が18.5%増、FP講座が18.7%増、建築士講座が36.1%増、行政書士講座が13.2%増、CompTIA講座が4.5%増、公認会計士講座が15.5%減、マンション管理士/管理業務主任者講座が14.9%減、証券アナリスト講座が3.7%減、公務員の国家総合職・外務専門職講座が12.5%減、公務員の国家一般職・地方上級講座が13.2%減となった。

 出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が4.2%増の30億66百万円、営業利益が1.2%増の5億09百万円だった。本格的な回復基調には至らず、コストも増加したが、収益認識会計基準に基づいて前期末に計上された返金負債の戻入などが寄与して増収増益だった。人材事業は売上高が0.8%減の4億36百万円、営業利益が3.8%増の99百万円だった。TACプロフェッショナルバンクの会計系人材事業、医療事務スタッフ関西の医療系人材事業とも概ね堅調だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が50億23百万円で営業利益が3億18百万円、第2四半期は売上高が51億12百万円で営業利益が5億05百万円、第3四半期は売上高が43億円で営業利益が3億84百万円の損失だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が24年3月期比1.1%増の192億20百万円、営業利益が2億70百万円(24年3月期は3億07百万円の損失)、経常利益が2億20百万円(同3億29百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が1億50百万円(同2億19百万円の損失)としている。配当予想は24年3月期比2円減配の4円(第2四半期末2円、期末2円)としている。予想配当性向は48.4%となる。

 グループの持続的な事業活動と中長期的な成長を推進するための重点施策として、オンラインでの学習環境強化と講座開発、営業人材育成による営業強化、需要の大きいDX関連研修の拡販、TAC出版書籍販売サイトのリニューアル、会計人材紹介事業の成約率向上、直営校の校舎規模の適正化、講座運営体制の抜本的見直し、全社的な作業効率の追求などを推進する方針だ。また株価純資産倍率(PBR)の改善にも取り組むとしている。積極的な事業展開で収益回復基調を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は水準を切り上げて戻り歩調だ。1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。2月6日の終値は225円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS8円27銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の4円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS323円28銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約42億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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