【注目銘柄】雪印メグミルクは2期ぶりの最高純益更新に価格改定が加わり押し目買い一考余地

■乳製品値上げと投資有価証券売却が牽引し、純利益が飛躍的に増加

 雪印メグミルク<2270>(東証プライム)は、前日16日に33円安の2758円と4営業日ぶりに反落して引けた。日経平均株価が、14円安と小反落したことから、200円幅のレンジ相場の上限で推移していた同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ同社株は、7月1日に続いて8月1日にも同社製品の価格改定を予定しており、2期ぶりに過去最高更新と予想されている今2026年3月期の純利益が、さらに上ぶれる可能性もあり、押し目買いも一考余地がありそうだ。テクニカル的にも、今年5月に年初来高値を更新する過程で25日移動平均線が、75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆し、また一部証券会社が目標株価を引き上げたこともフォローの材料となりそうだ。

■7月1日、8月1日と乳製品の値上げが続き230億円の改定効果

 同社は、今年7月1日からバター・プロセスチーズなどの乳食品52品目を2.4%~10.5%値上げし、8月1日からは牛乳、白物乳飲料などの市販用市乳商品59品目を2.7%~7.4%、宅配用市乳商品17品目を4.3%~9.5%それぞれ価格改定を予定している。飼料価格が高止まりしエネルギー価格も上昇して生産コストが130億円上昇することに対応するもので、今2026年3月期の価格改定効果を230億円と見積もっている。

 このため今2026年3月期業績は、売り上げ6400億円(前期比3.9%増)、営業利益190億円(同0.7%減)、経常利益200億円(同1.7%増)、純利益300億円(同2.15倍)と見込み、純利益は、2024年3月期の過去最高(194億3000万円)を2期ぶりに大幅更新する。純利益は、政策保有株の縮減と資産の効率化を図るために投資有価証券を売却し245億円の特別利益を計上することが要因となる。業績続伸に伴い株主還元策にも積極対応し、今期年間配当を100円(前期実績100円)と継続するほか、自己株式取得も推進する。自己株式取得は、取得株式数を1000万株(発行済み株式総数の14.8%)、取得総額を200億円、取得期間を2025年5月15日から2026年3月13日までとしており、このうち378万5400株、107億1268万円を5月15日に自己株式立会外買付取引(買付価格2830円)で取得済みとなっている。

■GC示現でPER5倍、PBR0.7倍、配当利回り3.6%の修正を加速

 株価は、トランプ関税による世界同時株安の波及でつけた年初来安値2395円から売られ過ぎ修正でリバウンドし、今期純利益の過去最高更新予想や自己株式取得を好感して大陽線を立て年初来高値2900円まで買い進まれ、25日線が75日線を上抜くGCを示現して上昇トレンド転換を鮮明化した。同高値後は25日線を出没するレンジ相場を続け、値上げ発表とともに年初来高値に肉薄してきた。PERは5.8倍、PBRは0.76倍、年間配当利回りは3.62%と割安であり、この修正に再発進して年初来高値を通過点に2019年1月高値3025円を上抜き、2018年1月高値3345円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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