【どう見るこの株】ノジマは横浜FM買収のリベンジを手掛かりに株式分割の権利取りも一法

■株式分割で投資環境を整備

 ノジマ<7419>(東証プライム)は、前日2日に115円安の3920円と続落して引けた。同社株は、今週10日を基準日に株式分割を予定しており、この分割権利に中間配当の権利取りも加わり9月26日に年初来高値4155円まで買われており、配当権利落ちとともに下値を探る動きを続けてきた。このため今年9月30日に日産自動車<7201>(東証プライム)からサッカーのJリーグの名門クラブ・横浜F・マリノス(横浜FM)の運営会社の買収を打診されたと報道されたことも材料出尽くしとして株価反応は限定的にとどまった。ただ横浜FM買収は、2010年にプロ野球球団・横浜ベイスターズの買収に名乗りを上げ実現しなった敗者復活戦、リベンジにもなるもので、買収実現なら同社の全国的な株価人気が一段と高まる可能性もあり、下値では株式分割の権利取りも一法となりそうだ。今2026年3月期業績が、早々に今年7月に上方修正されたことも見直されよう。

■名門クラブ買収実現なら全国区銘柄の人気を一段とアピール

 株式分割は、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることによって投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大と流動性を向上させることを目的にしており、10月10日を基準日に1株を3株に分割する。権利付き最終売買日は、10月8日となる。同社は、2022年も9月30日を基準日に株式分割(1株を2株に分割)を実施しこの権利取りで3090円高値を付けたが、権利落ち後以降にこの権利落ち分を埋め、足元では分割権利落ち後高値4155円まで大幅高している。

 一方、横浜FMの運営会社横浜マリノス(神奈川県横浜市)のノジマへの売却打診は、前2025年3月期に6708億円の赤字を計上した日産自動車<7201>(東証プライム)の経営再建策の一環で、同クラブのホームスタジアム「日産スタジアム」の命名権も含まれると報道された。横浜FMは、1993年にJリーグがスタートした時に参加した10クラブの一つで「オリジナル10」と呼ばれ、何回も優勝し一度もカテゴリーが下のJ2に降格したことのない名門である。それが今シーズンは、苦戦続きで降格争いに巻き込まれており、この動向が子会社売却に影響する可能性もある。ノジマは、2010年にTBSホールディング<9401>(東証プライム)が、横浜ベイスターズを売却する際に買収を申し入れたが実現せず、DeNA<2432>(東証プライム)が子会社化しており、名門球団の買収では敗者復活戦となる。2010年当時は、神奈川県を地盤とする中堅家電量販店の地方区銘柄のイメージが強かったが、現在ではM&Aなどを駆使する独自のビジネスモデルで業界有数の高収益会社にイメージチャンジしており、横浜FM買収のリベンジが実現すれば全国区銘柄人気を一段とアピールしよう。なお今2026年3月期業績は、今年7月に上方修正され、通期純利益は400億円(前期比23.9%増)と大幅続伸が見込まれている。

■業績上方修正も見直され2022年の分割権利落ち後の大幅高再現期待も

 株価は、前期業績の上方修正でつけた2491円からトランプ関税による世界同時株安で2275円と調整したが、今3月期業績の続伸予想で3320円、今期業績の上方修正で3620円、株式分割発表で年初来高値4155円と買い進まれた。横浜FM買収報道では材料出尽くし感からやや調整したが、PERは9.4倍と割安である。株式分割の権利取り妙味を示唆しており、2022年の株式分割権利落ち後の株価上昇の再現の期待を高めよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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