【株式市場特集】円高メリット株に再注目、出遅れ紙・パ株に掉尾の一振

■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補

 今週のコラムは、日銀の金融政策決定会合がFOMC同様に無事通過し、円高・ドル安と長期金利の強含みを前提に円高メリット株へ注目するとした。象徴株のニトリホールディングス<9843>(東証プライム)が9月末基準の株式分割後高値を更新し、今回は持続性を伴う動きと位置付ける。電気・ガス、SPA、100円ショップに加え、最出遅れの紙・パ株に師走相場での有終チャンスを期待する。需要減と構造改革費用で低迷してきたが、売られ過ぎ感に加え、政策保有株や有休資産の売却益計上が追い風となり、紙卸、製紙薬品、機械・用具など周辺株を含むリバウンドが想定され、「掉尾の一振」の候補とみる。

■全員PBR1倍割れでPERが10倍以下、配当利回りが4%超銘柄も

 紙・パ株は、円高・ドル安が原材料価格の輸入価格を下げ、コスト安を通じて業績上ぶれ要因となる。業界トップの王子ホールディングス<3861>(東証プライム)では、ドルが1%変動すると営業利益が7億8000万円変動する為替感応度と試算されており、今期の想定為替レートは1ドル=150円となっている。今3月期業績は、今年11月に下方修正されたが、配当は期初予想の36円(前期実績4円)を維持した。また子会社の固定資産売却益199億円計上も発表し、ジリジリ下値を切り上げ年初来高値に迫っている。前週末12日に年初来高値追いとなったレンゴー<3941>(東証プライム)も、今3月期中間決算は期初予想を下ぶれて着地したが、工場敷地の一部収容の補償金148億円の受け取りを発表している。両社のPERは14倍と12倍、PBRは0.7倍、0.6倍、配当利回りは4.3%、3.39%と出遅れバリュー株を示唆している。

 紙・パ株は、上記の2社を含めて全員PBR1倍割れであり、出遅れセクターの最出遅れ株とされる根拠となる。そのなかでも低PER株を割安株順にあげると4.3倍のスーパーバッグ<3945>(東証スタンダード)以下、トーモク<3946>(東証プライム)、三菱製紙<3864>(東証プライム)、ダイナパック<3947>(東証スタンダード)、中越パルプ工業<3877>(東証プライム)、古林紙工<3944>(東証スタンダード)、巴川コーポテーション<3878>(東証スタンダード)、特種東海製紙<3708>(東証プライム)と続き、特種東海製紙の10.8倍までがPER10倍以下である。高配当ベストスリーは、4.52%の中越パルプ以下、4.36%の王子HD、4.12%のスーパーバッグと続き配当利回り4%超となる。

■紙卸株から製紙薬品株、製紙機械・抄紙用具株などまで連鎖高の範囲内

 紙卸株でも前週末12日に日本紙パルプ商事<8032>(東証プライム)が、年初来高値を更新した。今3月期業績を下方修正したが、配当政策を変更し連結自己資本配当率(DOE)を導入して年間34円に増配し、さらに自己株式立会外買い付け(買い付け価格758円)を実施したことが要因となった。PER評価は割高だが、PEBは0.7倍、配当利回りは4.20%となる。同業他社のKPPグループホールディングス<9274>(東証プライム)の配当利回りも4.71%となり、PBRはさらに同業の平和紙業<9929>(東証スタンダード)とともに1倍を割る。

 このほか紙・パ株の周辺関連銘柄にも出遅れ株が目立ち、製紙薬品の東邦化学工業<4409>(東証スタンダード)、ハリマ化成グループ<4410>(東証プライム)、日華化学<4463>(東証スタンダード)、荒川化学工業<4968>(東証プライム)、製紙機械・抄紙用具の日本フエルト<3512>(東証スタンダード)、イチカワ<3513>(東証スタンダード)、日本フイルコン<5942>(東証スタンダード)、石川製作所<6208>(東証スタンダード)などに日が当たる連鎖高の範囲内となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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