京都ヒューマノイドアソシエーションに3社が新規参画、純国産ヒューマノイドロボット開発の体制を強化

■日本発ロボ産業基盤づくりへ、住友重機・ルネサス・JAEが参画

 一般社団法人京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)は12月3日、日本発の純国産ヒューマノイドロボット開発を加速するため、新たに住友重機械工業<6302>(東証プライム)、ルネサスエレクトロニクス<6723>(東証プライム)、日本航空電子工業<6807>(東証プライム)の3社が参画したと発表した。同団体は、急成長する世界のヒューマノイド市場に対し、日本の技術力を結集する産学連携組織として2025年に設立された枠組みである。今回の新規参画により、同団体は日本の主要機械メーカー、半導体メーカー、電子部品メーカーが横断的に参加する体制へと進化する。

■世界競争に挑む国産ロボティクス連携、京都を拠点に参画を拡大

 世界では米国の巨大テック企業や中国勢を中心にヒューマノイド開発競争が激化している一方、日本では自然災害や労働力不足が深刻化し、高度なロボティクス技術への需要が高まっている。とりわけ、極限環境下でも人に近い動作性能を発揮するヒューマノイドロボットは、インフラ点検、災害対応、重作業代替といった幅広い領域で期待が高い。しかし、AIやソフトウェア領域の進展に比べ、ハードウェア開発の国産体制が未整備である点が課題であった。KyoHAは京都を拠点に、分散していた技術とリソースを統合し、国産ロボティクス産業の再構築を目指す。

 同団体には既にテムザック、村田製作所、SREホールディングス、OIST、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイストなど産学の幅広い組織が参加している。理事には早稲田大学の高西淳夫教授と橋本健二教授が名を連ね、2足歩行を中心としたヒューマノイド研究の第一人者が中心となって技術戦略を主導する。今回新たに加わった住友重機械工業はアクチュエータ・減速機の高度技術、ルネサスはマイコンやAIプロセッサ、日本航空電子工業は高信頼コネクタ技術を提供し、国産開発の基盤強化が大きく前進する。

 参画企業はそれぞれロボティクス関連の技術開発に強みを持ち、医療・災害・産業機械・モビリティなど幅広い分野で応用が期待される。今後は産業界と学術界を横断した「ヒューマノイドのための日本連合」として参画拡大を続ける方針で、日本のロボット産業の競争力回復と次世代産業基盤の確立に寄与するとみられる。KyoHAは、社会課題の解決と国際競争力の強化を見据えた国産ロボティクスの中核拠点として、研究開発から実装まで一体的な取り組みを推進する。

【KyoHA参画13者紹介】

■早稲田大学
 早稲田大学からは、理事長を務める高西淳夫教授と橋本健二教授が参画しており、両名はいずれもヒューマノイド研究の第一線で活躍する専門家である。2足歩行ロボットや災害対応ロボットなど豊富な研究実績を持ち、国内外の大学や企業と共同研究を多数進めてきた。早稲田大学は日本のロボティクス研究拠点として長年にわたり先端研究を牽引している。

■テムザック
 テムザックは、人とロボットが共存する社会の実現を掲げ、医療、建築、災害、パーソナルモビリティ分野で実用ロボット「ワークロイド」を展開するメーカーである。髙本陽一代表取締役議長と川久保勇次代表取締役社長が参画し、現場で働くロボットの実装に強みを持つ実務派企業としてKyoHAに貢献する。

■村田製作所<6981>(東証プライム)
 村田製作所は、セラミック技術を基盤とした電子デバイスの世界的大手であり、川島誠執行役員が参画する。高周波部品から機能デバイス、新規事業にわたる幅広い技術を保有し、ロボティクス分野においても次世代産業を支える要素技術提供を進めている。

■SREホールディングス<2980>(東証プライム)
 SREホールディングスは、AI技術を実社会のビジネスに実装する特徴的な企業であり、佐々木啓文氏がロボティクス領域の事業改革や新規事業開発の経験をもって参画する。同社はヘルスケア・IT・不動産など多領域でAIを活用したソリューションを提供し、産業構造の変革を推進している。

■沖縄科学技術大学院大学(OIST)
 OISTからは、AIとシステムバイオロジーの第一人者でありRoboCup創設者としても知られる北野宏明教授が参加する。国際研究大学としてのOISTは生命科学と工学の融合研究で世界的評価を受けており、ロボティクス研究に新たな視点をもたらす存在である。

■マブチモーター<6592>(東証プライム)
 マブチモーターは小型直流モーターの世界的リーディング企業で、中村剛取締役常務執行役員が参画する。自動車電装、家電、工具など多用途のモーターを提供し、近年はモビリティ・マシーナリー・メディカルを重点分野として事業拡大を進めている。

■カヤバ<7242>(東証プライム)
 カヤバは自動車用ショックアブソーバや産業用油圧機器の分野で高い技術力を持つメーカーであり、伊藤隆所長が参画する。振動制御やパワー制御の基盤技術を活かし、安全で快適な未来社会を支える製品開発を続けている。

■NOK<7240>(東証プライム)
 NOKは、界面制御技術を基盤にシール製品やフレキシブルプリント基板(FPC)を展開するメーカーで、庄島大八CTOが参画する。同社はモビリティ、電子機器、医療、産業ロボット領域へ幅広い技術を提供し、ロボティクスの精密部品供給で重要な役割を担う。

■ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)
 ヒーハイストは直動機器や精密加工製品を扱う企業で、尾崎文彦専務取締役が参画する。世界初となる転がり案内式球面軸受を開発し、ロボット関節にも採用されるなど、ロボティクスの可動部品技術で存在感を発揮している。

■住友重機械工業<6302>(東証プライム)(新規参画)
 住友重機械工業は総合機械メーカーで、減速機・ギヤモータ、精密機械など幅広い製品を手がける。荒木達朗専務執行役員が参画し、ヒューマノイドに適したアクチュエータや減速機の開発を推進することで、国産ロボットの機構部強化に寄与する。

■ルネサスエレクトロニクス<6723>(東証プライム)(新規参画)
 ルネサスは世界的なマイコンサプライヤであり、Balaji Kanigicherla Co-CTOが参画する。組み込みプロセッサ、モータ制御用マイコン、ビジョンAIプロセッサなどロボティクスの頭脳となる半導体を提供し、迅速な製品開発を支えるソリューションも展開している。

■日本航空電子工業<6807>(東証プライム)(新規参画)
 日本航空電子工業はコネクタやインターフェース技術の大手で、七尾伸吾執行役員が参画する。高信頼性コネクタを中心に、ロボット、モビリティ、産業機器など多領域に製品供給を行い、産業の電子インターフェースを支える重要企業である。

■一般社団法人京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)
 KyoHAは京都を拠点に日本の技術を結集し、純国産ヒューマノイドロボット産業の構築を目指す団体である。産学連携の中核として参画企業を取りまとめ、国産ロボティクスの再興と新産業創出の基盤づくりを進めている。

(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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