【パン屋の倒産動向】コスト高の「三重苦」直面も「パン食」シフトで復活

■2025年のパン屋倒産が急減、SNS発信とインバウンドが追い風

 帝国データバンクは11月29日、「パン屋(パン製造小売)」の倒産動向を公表した。原材料・人件費・エネルギーなどのコスト高が続くなか、2025年1~10月の倒産件数は15件となり、前年(26件)から4割減と大幅に減少した。高級食パンブームの終焉やコスト上昇が重荷となっていたが、状況は一転し、倒産の増加傾向が4年ぶりに落ち着いた。閉店・廃業を含めれば市場退出は多いものの、倒産ペースの急進は収束した形である。

■総菜パン消費が3割増、家庭のパン支出は1割上昇

 改善の背景には、インバウンド需要の増加やSNSを活用したマーケティングの浸透がある。観光地や都市部では客足が戻り、創業まもない店舗でも「こだわり」を直接訴求することでリピーターを獲得しやすくなった。また、近時のコメ価格高騰により総菜パンや菓子パンが代替需要として伸び、家庭のパン消費は1日当たり推計114円とコロナ前から約1割増加した。調理パンは3割増となり、パン食機会の増加が街のパン屋に追い風となった。

 業績面では、2024年度に4割超が増益、7割近くが黒字を確保した。主食パンは手ごろな価格を維持しつつ、国産原料やストーリー性を付加したパンは積極的に価値を訴求するなど、価格設定の工夫が奏功した。さらに「ベーカリーカフェ」によるイートイン需要の取り込みや、地域密着型・ニッチ業態への進化が進む。厳しいコスト環境が続くなか、需要拡大を機会と捉え、値上げの納得感と付加価値創出を両立できるかが今後の焦点となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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