東京大学・国立環境研究所、ウナギが陸上で狩り、水陸両方で捕食可能と確認

■オオウナギが陸上でコオロギを捕食、環境適応力を裏付け

 東京大学大気海洋研究所と国立環境研究所の研究グループは10月17日、ウナギが水中だけでなく陸上でも獲物を捕食する行動を示すことを初めて確認したと発表した。研究には奄美大島で採集したオオウナギ10個体を使用し、水槽内に設けた水場と陸場の両方で行動を観察した結果、全個体が自発的に陸上へ上がり、コオロギを捕食する様子が多数観察された。実験期間中(各個体191~238時間)に計3713回の上陸行動があり、そのうち42回で陸上捕食が成功した。多くは照明を消した暗い時間帯に行われ、ウナギが環境に応じて行動を変化させる能力を持つことが明らかとなった。

■河川上流域で陸生生物の摂餌率が上昇、行動進化の鍵を示唆

 さらに研究チームは奄美大島の3河川で57個体の胃内容物を分析したところ、上流域に生息する個体ほど陸上生物(甲虫やトカゲなど)の摂餌割合が高く、河口からの距離とともに陸生餌への依存度が高まることが統計的に示された。これにより、ウナギが餌環境の変化に応じて水陸両方の資源を使い分ける柔軟な戦略を取っていることが判明した。特に上流域のように水生餌が乏しい環境では、陸上捕食能力が生態的適応として重要な役割を果たしている可能性がある。

 同成果は、これまでトビハゼなど限られた魚類でしか確認されていなかった陸上摂餌行動をウナギ類にも拡張するもので、魚類から四足動物への進化過程を理解するうえで新たな視点を提供する。研究チームは今後、高速度カメラによる摂餌動作の詳細解析や形態学的特徴との関連を調べることで、ウナギの新たな摂餌戦略の進化的背景を解明する計画である。研究論文は学術誌「Ecology」に掲載された。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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