【株式市場特集(2)】10月決算期の高配当株に注目、希少な3%超利回りに資金集まる

■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上

 株式市場では、高配当利回りを持つ10月決算期企業への注目が高まっている。権利付き最終売買日が10月29日に迫るなか、全市場1400社超のうち利回り3%以上の銘柄はわずか20社、比率にして1.4%にすぎない。希少な高配当株として資金効率の高い投資対象とみられている。クミアイ化学工業<4996>(東証プライム)は農薬事業の好調を背景に中間期業績を上方修正したが、通期で減益・減配に転じ、配当を34円から22円に引き下げた。それでも足元では3.1%の配当利回りを維持している。ケア21<2373>(東証スタンダード)は医療・介護関連株の人気を追い風に年初来高値を更新し、利回りは2.91%に低下した。これらの銘柄はいずれも内需型で低PER・PBRが特徴とされ、安定配当を求める投資家の分散投資先として関心が強まっている。

■配当方針変更会社に続き業績下方修正でも配当据え置き会社も

 10月期決算会社で高配当利回り3%以上の銘柄は、トップのナレルグループ<9163>(東証グロース)の4.81%以下、AB&Company<9251>(東証グロース)、アールエイジ<3248>(東証スタンダード)、土屋ホールディングス<1840>(東証スタンダード)、学情<2301>(東証プライム)、萩原工業<7856>(東証プライム)、ファースト住建<8917>(東証スタンダード)、オービス<7827>(東証スタンダード)泉州電業<9824>(東証プライム)、ナトコ<4627>(東証スタンダード)、巴工業<6309>(東証プライム)、アイ・ケイ・ホールディングス<2198>(東証プライム)、のむら産業<7131>(東証スタンダード)と続き、第13位ののむら産業の配当利回りは、ちょうど3.0%となる。

 このうち「小ドラマ」株は、まずのむら産業で、「令和の米騒動」で米穀精米袋が好調に推移し年間配当を89円に増配したことが高利回り要因となる。また配当方針を変更し配当性向を30%から50%以上に引き上げるか1株配当60円に高い方に増配したAB&Companyも、その一角となる。さらに前記の減配したクミアイ化学とは異なって、業績を下方修正しながら配当は期初予想の据え置きとした土屋HD、萩原工業、学情、泉州電業も有資格銘柄となる。

■7期連続の増配会社や低PER三羽烏などが権利取り妙味を主張

 4月期決算会社では、中間配当は取締役決議、期末配当は総会決議とする定款に従って、10月中間配当を実施するケースもある。中間配当を予定し年間配当利回りの高い銘柄を上げると、トップのヤガミ<7488>(名証メイン)の5.67%以下、ノバック<5079>(東証スタンダード)、ダイサン<4750>(東証スタンダード)、日本ハウスホールディングス<1873>(東証プライム)、ラクーンホールディングス<3031>(東証プライム)、神島化学工業<4026>(東証スタンダード)、ナ・デックス<7435>(東証スタンダード)と続いてベストセブンで、第7位のナ・デックス配当利回りは3.11%と3%を上回る。

 このうちヤガミは、7期連続の増配で今2026年4月期配当は、年間252円(前期実績174円)、うち10月中間配当は114円を予定している。またダイサンとナ・デックスが、配当政策変更に伴う高配当である。さらに低PER株は、8倍の神島化学、9倍のナ・デックス、11倍のダイサンが三羽烏で、ノバック、日本ハウジングHD、神島化学、ナ・デックスがPBR1倍割れである。権利取り妙味を主張しバリュー株買いをサポートしそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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