科研製薬、減収減益も研究開発費48.2%増で次世代治療薬開発加速

 科研製薬<4521>(東証プライム)の26年3月期第3四半期累計連結業績は減収減益だった。前期の増収要因だった「NM26」の知的財産譲渡および販売提携オプション契約に係る契約一時金収入の反動、STAT6阻害剤に関するライセンス契約締結に基づく契約一時金収入の反動、クレナフィンのオーソライズド・ジェネリック(以下、AG)への置き換え進展などによって減収となり、ライセンス契約締結に伴う研究開発費の増加も影響した。通期は前回予想(25年9月26日付で下方修正)を据え置いて減収減益予想としている。

■医療用医薬品・医療機器メーカー

 医薬品・医療機器、農業薬品などの薬業、および文京グリーンコート関連などの不動産事業を展開している。

 主要な医薬品・医療機器は、爪白癬治療剤のクレナフィン群、関節機能改善剤のアルツ、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤のフィブラスト、原発性腋窩多汗症治療剤のエクロック、歯周組織再生剤のリグロス、腰椎椎間板ヘルニア治療剤のヘルニコア、およびジェネリック医薬品である。

 M&A・アライアンス関連では21年12月に国内バイオベンチャー企業のアーサム・セラピューティクス社を子会社化、23年3月にbitBiomeと感染症治療薬創製に関する共同研究契約を締結、25年3月に米国Aadi社を子会社化した。Aadi社は希少疾病「局所進行した切除不能/転移性の悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍」治療薬のFYARROを販売している。

■開発パイプライン

 26年2月6日時点の開発パイプラインの状況として、自社創薬・導入品ではアタマジラミ症を適応症とするKAR(アーバー・ファーマシューティカルズ社、現アズリティ社)から導入、海外製品名Sklice)は申請準備中、難治性脈管奇形を適応症とするKP-001(自社開発)は国内で申請準備中、米国で第3相段階、原発性胆汁性胆管炎を適応症とするKC―8025(一般名Seladelpar)(シーマベイ・セラピューティクス社、現ギリアド・サイエンシズ社から導入)は第3相段階、尋常性乾癬を適応症とするESK-001(アルミス社から導入、25年3月に日本におけるライセンス契約締結)はアルミス社が日本を含む国際共同試験を実施しており第3相段階、遺伝性血管性浮腫の長期予防薬ナベニバルト(米アストリア社、現バイオクリスト社から導入、25年8月に日本におけるライセンス契約締結)はアストリア社が日本を含む国際共同試験を実施しており第3相段階、固形がん(がん免疫療法)を適応症とするKP-483(自社創薬)は第1相段階、末梢性神経障害性疼痛を適応症とするKP-910(自社創薬)は第1相段階、先天性副腎過形成症を適応症とするチルダセルフォント(スプルース・バイオサイエンシズ社から導入)は第1相段階である。

 次世代の経口2型炎症性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息など)治療薬として前臨床段階にあるSTAT6阻害剤(開発記号:KP―723)を含むSTAT6プログラムについては、24年12月にグローバルにおける開発・製造および商業化に関する独占的ライセンスを米国Johnson & Johnson(以下、J&J社)に許諾するライセンス契約を締結した。日本国内では科研製薬が本プログラムで開発される製品の商業化に関する権利を保持し、第1相試験完了まで進める。

 海外導出では、爪白癬治療剤クレナフィン(海外製品名Jublia)についてアルミラル社が25年3月にイタリアで製造販売承認取得、25年8月にドイツで製造販売承認取得したほか、AIM社が中国で第3相段階である。原発性腋窩多汗症治療剤のエクロックについては韓国ドンファ社が25年8月に韓国で販売承認を取得し、26年1月に販売を開始した。

 その他の開発状況として、遺伝性血管性浮腫(HAE)を適応症とするセベトラルスタットについては、25年4月にカルビスタ・ファーマシューティカルズ社と日本におけるライセンス契約を締結し、25年12月にライセンス元のカルビスタ・ファーマシューティカルズ社が、日本において遺伝性血管性浮腫の急性発作を効能・効果として製造販売承認(外国特例承認)を取得した。

 軟骨欠損を伴う変形性膝関節症を適応症とする同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織gMSC1(再生医療等製品、広島大学発のバイオベンチャー企業であるツーセル社から導入、25年6月に日本国内の整形外科領域における共同開発・独占的販売に関するライセンス契約締結)は第3相準備中である。ツーセル社が製造販売承認取得に向けた開発を実施する。

 アトピー性皮膚炎を適応症とするNM26については、24年5月に米国J&J社の関連会社であるスイスのシーラグ社と知的財産譲渡および販売提携オプション契約を締結し、J&J社が日本で承認取得するすべての適応症について販売提携契約を交渉するオプション権を有している。J&J社が臨床試験を実施しており第2相段階であったが、25年12月に現在行っている第2相試験の中止を発表している。

 三洋化成工業<4471>が開発した新規の創傷治癒材シルクエラスチン創傷用シート(医療機器)(24年10月に日本での販売に関するライセンス契約を締結)については、25年4月に三洋化成工業が薬事承認を取得した。

 また24年11月にスイスのニューマブ社と、炎症性腸疾患(IBD)を対象疾患とする新規多重特異性抗体医薬ND081に関する共同研究契約を締結した。そして25年11月にスイスのニューマブ社と、IBDを対象疾患とする新規多重特異性抗体医薬NM81(旧開発コードND081)に関するライセンスおよび共同開発契約を締結した。これにより、24年11月に締結した共同研究契約に付随するオプション権に基づくアジアの特定の地域におけるNM81の販売権を取得した。科研製薬は臨床PoC取得までの開発費の大部分を負担し、ニューマブ社は非臨床および臨床開発の主要な実施主体となる。

■26年3月期3Q累計減収減益、通期減収減益予想据え置き

 26年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比24.2%減の576億17百万円、営業利益が97.8%減の5億54百万円、経常利益が95.5%減の11億72百万円、親会社株主帰属四半期純利益が92.7%減の13億98百万円だった。

 減収減益だった。前期の増収要因だった「NM26」の知的財産譲渡および販売提携オプション契約に係る契約一時金収入の反動、STAT6阻害剤に関するライセンス契約締結に基づく契約一時金収入の反動、クレナフィンのAGへの置き換え進展などによって減収となり、ライセンス契約締結(セベトラルスタット、gMSC1、ナベニバルト、NM81)に伴う研究開発費の増加(48.2%増の156億45百万円)も影響した。

 薬業(医薬品・医療機器、農業薬品)は売上高が24.9%減の557億02百万円で、営業利益が4億82百万円の損失(前年同期は243億95百万円)だった。売上高の内訳は医薬品・医療機器(国内・海外)が26.8%減の520億07百万円、農業薬品が15.5%増の35億26百万円、その他が99.6%増の1億67百万円だった。また海外売上高(医薬品、農業薬品)は66.7%減の78億80百万円だった。不動産事業(文京グリーンコート関連賃貸料など)は売上高が3.9%増の19億15百万円で営業利益が1.2%増の10億37百万円だった。

 国内主要医薬品・医療機器売上高(単体ベース)はクレナフィン群が15.0%減の115億23百万円、アルツが4.0%減の141億42百万円、セプラフィルムが0.5%減の54億76百万円、フィブラストが6.5%減の17億37百万円、エクロックが12.6%増の19億38百万円、リグロスが7.9%減の6億54百万円、ヘルニコアが36.5%減の2億01百万円、ジェネリック医薬品計(AGを除く)が14.4%減の57億22百万円だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(25年9月26日付で下方修正)を据え置いて、売上高が前期比8.2%減の863億円、営業利益が90.0%減の21億円、経常利益が86.8%減の28億円、親会社株主帰属当期純利益が83.5%減の23億円としている。配当予想も据え置いて前期と同額の190円(第2四半期末95円、期末95円)としている。

 研究開発費の計画は前期比35.6%増の254億円、国内主要医薬品・医療機器売上高計画(単体ベース)はクレナフィン群が21.7%減の132億円、アルツが4.9%減の181億円、セプラフィルムが0.7%増の70億円、フィブラストが9.6%減の22億円、エクロックが17.8%増の24億円、リグロスが2.4%減の9億円、ヘルニコアが25.9%減の3億円、ジェネリック医薬品計(AGを除く)が8.2%減の78億円としている。

■長期経営計画2031

 2023年3月期から10か年の長期経営計画2031については、経営環境の変化や計画の進捗を踏まえ、25年4月に一部見直しを公表した。見直しの考え方として、企業価値向上には画期的・革新的新薬の継続的な上市が不可欠のため戦略投資を増額するほか、業績やキャッシュ・フローの不確実性およびボラティリティの高まりを見据えつつ財務規律を維持する。また重要なステークホルダーである株主・投資家への株主還元を強化する。

 業績目標としては32年3月期の売上高1000億円、営業利益285億円、ROE10%以上、海外売上高比率30%以上を掲げている。研究開発では10年間で8品目上市(P1以降PJ常時6品目以上をP1以降PJ常時8品目以上に変更)するためのパイプラインを確保する。戦略投資計画については10年間で2000億円以上を2600億円以上に変更した。株主還元方針では25年3月期の配当190円を下限としつつ、従来の配当性向30%以上・総還元性向50%以上を維持する。また今後7年間で株主還元総額500億円以上を見込んでいる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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