【特集】大暴落した原油価格関連株と米国の10年物国債利回り関連株にスタンバイ

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■「水準より変化率」の応用編にアプローチ

特集

 今回の特集は、連綿と受け継がれてきたこの「水準より変化率」の応用編にアプローチすることとした。取り上げるのは、株価以上に大暴落した原油価格関連株と原油価格と逆相関する米国の10年物国債利回り関連株である。原油先物(WTI)価格は、前週9日の「OPECプラス」の協調減産合意で逆に乱高下、つれて米10年物国債利回りも再流動含みとなっており、いずれも3月初めにつけた水準を割るのか持ちこたえるのか悲観論と楽観論が交錯し、「水準より変化率」かウオッチする連動ゾーンに入ってきたようだからで、市場コンセンサスに順張りするのか逆張りするのか関連株にスタンバイする余地が広がりそうだ。

■再度の20ドル割れか持ちこたえるか和製メジャー株を中心にスタンバイ

 4月9日に開催されたOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの非加盟国で構成される「OPECプラス」の電話協議では、協調減産幅を日量1000万バーレルとすることで合意した。電話協議が始まると減産幅が2000万バーレルとなると速報され、WTI価格は一時、前日比13%高の1バーレル=28.36ドルまで買われ大幅続伸したが、減産幅が1000万バーレルと伝わると急落、2.23ドル安、9%安の22.76ドルで引けた。ただ前回3月6日の「OPECプラス」では、OPEC側が提案した日量150万バーレルの追加減産をロシアが拒否して、サウジ・ロシア間の「価格競争」懸念で18年ぶりの安値19.27ドルまで急落した。今回の減産幅では、パンデミックによる世界経済の落ち込み、原油需要の蒸発をカバーできないとの見方が強まったためだが、しかし10日の20カ国・地域(G20)エネルギー相会合の声明も含めて、前回の決裂から合意形成となったことは一歩前進には違いないのである。再度の20ドル割れがあるのか持ちこたえるのかが、今後の「変化率」買いが正は否か、関連株にスタンバイする大きなメルクマールとなるはずだ。

 「変化率」買いが成立するとすれば、関連株はまず和製メジャー株といわれる産油・産ガス株で、国際石油開発帝石<1605>(東1)石油資源開発<1662>(東1)K&Oエナジーグループ<1663>(東1)となる。続いて石油元売りの出光興産<5019>(東1)JXTGホールディングス<5020>(東1)コスモエネルギーホールディングス<5021>(東1)、石油精製の東亜石油<5008>(東1)富士石油<5017>(東1)などと続く。番外編では、「ビジョンファンド」に出資しているサウジの財政不安懸念で売られたソフトバンクグループ<9984>(東1)が、連動余地を拡大させるかもしれない。

■25日線奪回のメガバンク、ミニGC示現の地銀株に収益下支え効果を期待

 3連休前の米10年物国債は、このWTI価格の急反落とともに安全資産として買い直され利回りは0.72%と低下した。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が、金融緩和の長期化を示唆して債券買いが強まったためだが、3月の「OPECプラス」の協議決裂、新型コロナウイルスのパンデミック懸念で一時突っ込んだ史上最低の0.31%ほどのリスクオフとはなっていない。持ちこたえたことになる。これに先立ってFRBは、緊急資金供給策も発表しており、金融機関の与信コストが低下するとして銀行株が大幅高となった。こうした銀行株への収益下支え期待は、前週末10日の東京市場にも波及し業種別値上がり率ランキングでは、銀行業がトップに躍り出た。

 この日は、りそなホールディングス<8308>(東1)に対して、国内証券が与信費用が増加するとして目標株価を引き下げた影響を受けたが、株価自体は前日比プラスをキープし、5日続伸して5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現した。メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東1)三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東1)も、3月23日に売られたリーマン・ショック以来の安値から底上げ、25日線をクリアした。

 このメガバンク2行のほか、ミニGCを示現したりそなHD、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東1)、さらに地銀の東北銀行<8349>(東1)スルガ銀行<8358>(東1)山梨中央銀行<8360>(東1)北洋銀行<8524>(東1)福島銀行<8562>(東1)大東銀行<8563>(東1)などとともに、米長期金利の「変化率」に期待してスタンバイするのも一考余地がありそうだ。

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