【アナリスト水田雅展の銘柄分析】京写は高値更新の展開、今期再増額の可能性で上値追い

銘柄分析

 プリント配線板大手の京写<6837>(JQS)の株価は、14年9月の465円を突破して高値更新の展開となった。12月29日には551円まで上値を伸ばした。今期(15年3月期)業績見通しは再増額の可能性が高く、予想PERには依然として割安感が強い。目先的な過熱感を冷ましながら上値追いの展開だろう。

 生産量世界トップの片面プリント配線板、および両面プリント配線板を収益柱として、実装関連事業も展開している。プリント配線板の生産は、国内および中国、インドネシアに拠点展開している。また14年10月にはキクデンインターナショナル(神奈川県横浜市)から実装治具事業を譲り受け、実装治具事業の生産能力強化も推進している。

 15年3月期第2四半期累計(4月~9月)の製品用途別売上構成比は、自動車関連が29.4%、家電製品が28.2%、事務器が12.5%、映像関連が7.8%、アミューズメントが5.5%、その他が16.6%である。LED照明関連の需要拡大も背景として、製品サイクルの長い自動車関連や家電関連に注力し、幅広い用途と顧客を獲得している。

 中期経営計画では目標数値として、16年3月期売上高200億円(片面プリント配線板100億円、両面プリント配線板85億円、実装関連事業15億円)、営業利益率6%、ROE(自己資本利益率)15%以上、ROA(総資産利益率)6%以上を掲げている。

 重点戦略としては、LED照明関連など環境対応製品の強化、片面プリント配線板分野における圧倒的トップシェアの獲得、海外生産の拡大、技術革新やコスト対応による収益力向上、基板・実装関連に次ぐ第3の事業の確立に取り組んでいる。LED照明関連については直管型LED照明の増加に加えて、自動車ヘッドライトのLED化進展も期待されている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(7月31日に利益を増額)は、売上高が前期比5.4%増の170億円、営業利益が同12.7%増の9億円、経常利益が同11.8%増の8億80百万円、純利益が同25.1%増の6億50百万円としている。配当予想(4月30日公表)は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比9.1%増収、同49.2%営業増益、同32.3%経常増益、同26.9%最終増益だった。自動車関連やLED照明関連向けなどが好調で、特に両面プリント配線板が同28.0%増収と想定以上に好調だった。さらに販売価格の適正化なども寄与して売上高、利益とも期初計画を上回った。売上原価率は79.5%で同1.0ポイント低下した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.6%、営業利益が54.0%、経常利益が54.7%、純利益が55.4%である。生産自動化進展や集中購買による原材料調達コスト低減などの効果も寄与して、通期利益は再増額の可能性が高いだろう。需要は国内外の自動車関連やLED照明関連を中心に増加基調であり、中期的にも収益拡大基調が期待される。

 株価の動きを見ると、14年9月の465円を突破して高値更新の展開となった。12月29日には551円まで上値を伸ばした。その後は利益確定売りなどで一旦反落したが、自律調整の範囲であり、好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。

 1月7日の終値519円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円35銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS338円63銭で算出)は1.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期業績見通しは再増額の可能性が高く、予想PERには依然として割安感が強い。目先的な過熱感を冷ましながら上値追いの展開だろう。

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