【アナリスト水田雅展の銘柄診断】エイジアはモミ合い上放れの動き、中期成長力を評価して14年11月の戻り高値試す

銘柄分析

 メール配信ソフト大手のエイジア<2352>(東マ)の株価は、安値圏の1000円~1100円近辺でモミ合う展開だったが、徐々に下値を切り上げてモミ合い上放れの動きを強めている。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して14年11月の戻り高値1360円を試す展開だろう。

 自社開発e-CRMシステム「WEBCAS」シリーズなどのアプリケーション事業を主力として、システム受託開発やマーケティングコンサルティングなどのサービスソリューション事業も展開している。自社開発メール配信ソフト「WEBCAS e-mail」の導入実績は総合通販大手など約1600社以上に達し、国内メール配信パッケージ市場でのシェアは1位である。

 中期成長戦略として「メールアプリケーションソフトのエイジア」から、販売促進・マーケティング支援分野に事業領域を拡大して「eコマースの売上UPソリューションを世界に提供するエイジア」への発展を目指し、クラウドサービス(ASP、SaaS)の強化、新製品・サービス開発の推進、サービスソリューション事業の拡大に取り組んでいる。

 M&A・アライアンス戦略では、12年4月ECサイト構築・運営事業拡大に向けてシステムインテグレータ<3826>と資本・業務提携、12年12月メールマーケティングコンサルティング事業拡大に向けてメールマガジン制作・運用支援のグリーゼと資本・業務提携、13年10月メールマガジン戦略立案・企画・制作・分析サービスのFUCAを連結子会社化、14年1月Webサイトソーシャル化支援サービスのフィードフォース社と業務提携した。

 14年6月にはデータベース作成システム「WEBCAS DB creator」を発売した。メール配信機能とアンケート機能も利用できるオールインワン型のCRMクラウドサービスとして提供する。さらにジェイモードエンタープライズと共同開発した電子レシートメール送信サービス「レシートメール」も発売した。

 また14年12月には、メール配信システムの最新版「WEBCAS e-mail Ver.6.0」、およびe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズの新ラインナップとしてSMS(ショートメッセージサービス)配信システム「WEBCAS SMS」の発売を発表している。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月14日公表)は売上高が11億20百万円~11億80百万円(前期比11.2%増~17.2%増)、営業利益が2億45百万円~2億80百万円(同1.1%増~15.6%増)、経常利益が2億45百万円~2億80百万円(同2.5%増~17.2%増)、純利益が1億45百万円~1億65百万円(同11.0%増~26.3%増)、配当予想が同1円増配の年間15円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第2四半期累計(4月~9月)の進捗率は低水準だったが、クラウドサービスの好調、開発部門の効率や生産性の向上、広告宣伝費の抑制などが寄与して経常利益、純利益は期初計画を上回った。

 通期ベースでも、アプリケーション事業では利益率の高いクラウドサービスの2桁増収を見込み、サービスソリューション事業では子会社化したFUCAの通期連結(前期は6ヶ月連結)や「WEBCAS+メルマガ企画・制作」の大型案件も寄与する見込みだ。大型案件の引き合いは増加基調であり、人員増強などの先行投資負担を吸収して好業績が期待される。

 株価の動きを見ると、急伸した11月の戻り高値1360円から反落し、安値圏の1000円~1100円近辺でモミ合う展開だったが、徐々に下値を切り上げてモミ合い上放れの動きを強めている。

 1月8日の終値1078円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の上限値の連結EPS85円46銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS437円29銭で算出)は2.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると、13週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げ、26週移動平均線を突破した。強基調に転換した形だ。指標面に割高感はなく、中期成長力を評価して14年11月の戻り高値1360円を試す展開だろう。

>>エイジアのMedia-IR企業情報

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る