ジェイテックは調整一巡して反発期待、17年3月期2桁増収増益予想

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 ジェイテック<2479>(JQS)は「技術職知財リース事業」の人材サービス事業を展開し、飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」拡販も推進している。17年3月期は2桁増収増益予想で収益改善基調が期待される。株価は調整一巡して反発が期待される。

■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力

 製造業の開発・設計部門向けに技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力としている。専門教育による知識を基盤として新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的な「エンジニア」と区別していることが特徴である。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。

 子会社のジェイテックアーキテクト(12年10月子会社化したエル・ジェイ・エンジニアリングが15年10月商号変更)は建築設計分野の技術者派遣、子会社ジェイテックアドバンストテクノロジ(ジオトレーディングが15年10月商号変更)は製造業向け一般派遣・エンジニア派遣事業を展開している。

 また子会社ジェイテックビジネスサポート(ベンチャービジネスサポートが16年4月商号変更)は、15年7月ベンチャー総研グループのヒューマンリソース事業およびポスティング事業の一部を譲り受けて事業開始した。

■機械、電気・電子、ソフトウェア、建築の4分野が柱

 主力の「技術職知財リース事業」では機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、および建築設計分野を柱としている。

 16年3月期の顧客業種別売上構成比は、建築関連が27.8%、自動車関連が22.3%、産業用機器関連が17.6%、情報処理関連が8.8%、電子・電気機器関連が8.0%、精密機器関連が4.2%、情報通信機器関連が3.1%、半導体・集積回路関連が1.8%、航空機・宇宙関連が1.4%だった。また売上上位10社の構成比は約48%だった。約170社との取引があり、特定の業界・企業への依存度を低くして業種別・顧客別売上構成比のバランスを維持していることも特徴だ。

■新規ビジネスなどで事業領域を拡大

 15年3月に飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」を発表した。NFC(近距離無線通信技術)など先端IT技術を活用し、飲食店の運営効率化を支援するために提供するサービスだ。専用端末や専用プログラムを必要とせず、スマートフォンからNFCタグまたはQRコードを読み取るだけで注文できる。約十カ国後の多言語対応のため外国人旅行客もスムーズに注文できるとしている。

 15年8月バージョンアップした「グルくる」(Ver.2)のサービスを開始した。15年10月鎌倉市小町通り商店街およびその周辺店舗において「グルくる」試験導入を開始し、その後正式導入された。

 16年2月には「グルくる」の特許取得(16年1月8日付)を発表した。NFCなどのICタグまたはQRコードなどの二次元コードを用いて、顧客所有のスマートフォンなどの携帯端末から注文できるという注文管理装置および方法を独自に開発したことによる。

 16年5月には「グルくる」の事業展開に関して大阪市商店会総連盟(大阪市商連)との協賛企業協定締結を発表した。大阪市商連会員に会員価格にて「グルくる」サービスを提供し、大阪市商連は会員である310の商店会と1万1000の会員を紹介する。

■新卒テクノロジストが戦力化する期後半の利益構成比が高い収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期8億27百万円、第2四半期8億18百万円、第3四半期8億46百万円、第4四半期8億57百万円、営業利益は第1四半期45百万円の赤字、第2四半期18百万円の黒字、第3四半期37百万円の黒字、第4四半期69百万円の黒字だった。期後半の利益構成比が高い収益構造である。期前半は新卒テクノロジストの研修期間中の人件費や教育・研修費用が先行するため利益がやや低水準だが、期後半に向けて新卒テクノロジストの戦力化が寄与する。

 15年3月期は契約単価の上方改定に伴って期前半は稼働率が低下したが、期後半には稼働率が回復した。契約単価改定も寄与して営業損益は改善基調だ。なお15年3月期の平均単価は3702円で14年3月期比392円(11.85%)上昇した。売上総利益率は22.3%で14年3月期比0.6ポイント低下、販管費比率は19.9%で同0.2ポイント低下、ROEは9.9%で同2.9ポイント低下、自己資本比率は45.9%で同3.2ポイント上昇、配当性向は14.6%だった。

■16年3月期は減益

 前期(16年3月期)の連結業績は前々期(15年3月期)比0.2%増収、同8.2%営業減益、同2.4%経常減益、同18.9%最終減益だった。稼働率および平均単価は高水準だったが、テクノロジスト確保難、採用経費の増加、新規事業に伴う関連費用の増加などで減益だった。

 売上総利益は同9.7%増加し、売上総利益率は24.4%で同2.1ポイント上昇した。販管費は11.9%増加し、販管費比率は22.2%で同2.3ポイント上昇した。営業外では助成金収入4百万円を計上した。ROEは7.0%で同2.9ポイント低下、自己資本比率は49.5%で同3.6ポイント上昇した。配当は前々期と同額の年間1円(期末一括)で配当性向は18.1%だった。

 セグメント別に見ると、技術職知財リース事業は電子・電気機器関連や情報処理関連の取引が増加したが、事業全体としては稼働人員の大幅な増加に至らず売上高が同1.4%減の31億97百万円だった。営業利益(連結調整前)は原価管理徹底や経費削減などで同1.9%増の3億75百万円だった。

一般派遣およびエンジニアリング派遣事業は、ベンチャービジネスサポートの設立および事業譲受などで新規取引が増加し、売上高が同50.8%増の1億59百万円が、営業利益は費用増加で3百万円の赤字(前々期は14百万円の黒字)だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期8億05百万円、第2四半期8億23百万円、第3四半期8億39百万円、第4四半期8億89百万円、営業利益は第1四半期2百万円の赤字、第2四半期15百万円、第3四半期4百万円、第4四半期56百万円だった。

■17年3月期は2桁増収増益予想、収益改善基調期待

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月9日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比10.0%増の36億92百万円、営業利益が同26.0%増の92百万円、経常利益が同19.2%増の91百万円、純利益が同38.1%増の65百万円としている。配当予想は前期と同額の年間1円(期末一括)で予想配当性向は13.1%となる。

 技術職知財リース事業の拡大、飲食店向け多言語対応注文支援システム「グルくる」の代理店開拓、システム開発請負業務の拡大に注力する。またジェイテックビジネスサポート(16年4月ベンチャービジネスサポートが商号変更)の介護事業への参入など、事業領域拡大も寄与して2桁増収増益予想である。収益改善基調が期待される。

■中期経営計画で18年3月期純利益1億52百万円目指す

 中期経営計画では基本戦略として、さらなる成長発展に向けた収益基盤の強化、財務基盤の一層の強化と安定した株主還元、経営理念に基づく新たな挑戦を掲げ、経営目標値は18年3月期の売上高42億23百万円、営業利益1億90百万円、経常利益1億90百万円、純利益1億52百万円としている。

 主要取引先の大手製造業では新製品開発など高水準の研究開発投資を継続しているため、自動車関連、産業機器関連、電機・精密機器関連などを中心に、技術開発や製品設計に対応可能なスキルを持つ技術者に対して派遣需要が一段と高まっている。そして改正労働者派遣法もプラス要因となる。人材確保が課題だが、中期的に受注環境は良好だろう。

■株価は調整一巡して出直り

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して187円まで調整した。ただし1月の年初来安値178円まで下押す動きは見られない。

 6月23日の終値191円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS7円61銭で算出)は25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS81円40銭で算出)は2.3倍近辺である。時価総額は約16億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、調整一巡して反発が期待される。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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