【この一冊】過剰な資本の末路と大転換の未来(水野和夫著)

 大手証券のチーフエコノミストから内閣府官房審議官を経て、現在、法政大学教授の著者が豊富な知識で書き上げた渾身の一冊。

 「なぜ、先進国は先進国で、後進国はずっと後進国なのか」という問題提起から訴え、その背景を分かりやすく解き明かしている。また、古代帝国システムや中世教会システムがそうであったように資本主義も富を、「周辺」から、「中心」に蒐めるシステムであり、その違いは、「軍事力・信仰」か、「市場を通じてか」であるという。そして今、カネ、モノ、エネルギーを独占するのは誰だ、と問いかける。市場合理主義の限界、エネルギーの枯渇、さらに変容していく帝国主義のあり方に鋭く踏み込んだ書である。経済を学ぶ人にとっても役立つ一冊である。

☆書名=『過剰な資本の末路と大転換の未来』
☆著者=水野和夫
☆定価=本体1500円(プラス税)
☆発行=徳間書店

 

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