【編集長の視点】バリューデザインは上場来安値から続急騰、1Q決算発表で連続最高業績を見直し直近IPO株が増勢

 バリューデザイン<3960>(東マ)は、185円高の3585円と続急騰して始まり、今年11月9日につけた上場来安値2930円からの底上げを鮮明化している。同社は、今年9月26日に新規株式公開(IPO)され、11月8日に初決算となる今6月期7~9月期(第1四半期、1Q)決算を発表、赤字着地となったが、赤字幅が予想より縮小したことを見直し、今6月期業績が、連続して過去最高更新と予想されていることを見直し直近IPO株買いが増勢となっている。主力事業のハウスプリペイドカードの導入者数と導入店舗数が続伸し、今年9月度の月間取扱高が、創業以来初の100億円を突破したことや、金融とIT(情報技術)を融合するFinetech(フィンテック)関連業種と提携しサービス拡充を視野にいれていることも、合わせてポジティブに評価されている。

■ハウスプリペイドカードの9月度の月間取扱高は創業来初の100億円突破

 同社の今期1Q業績は、四半期決算が初作成となるため前年同期比較はなく、売り上げ3億3900万円、営業利益3200万円の赤字、経常利益5300万円の赤字、純利益3800万円の赤字となった。主力事業の「バリューカードASPサービス」の導入企業・店舗数とも創業以来の増加となったが、1Qではシステム運用体制、内部管理体制、営業体制の強化や重点的な人材採用、上場関連費用などの先行投資が前倒しで計上され赤字となったが、赤字そのものは予想より縮小した。

 とくに主力のハウスプリペイドカードは、決済手段のプリペイドカードを店舗と消費者をつなぐマーケティングツールとして提供しているもので、前6月期末の導入者数は、前々期14.9%増の500社、導入店舗数も同41.2%増の4万8239店、取扱高(入金額)は同21.0%増の723億円と高成長した。今期に入ってもこの高成長は続き、今年9月末には導入者数は521社、導入店舗数は4万8741店へ続伸、このため9月度の月間取扱高は、105億4200万円(前年同月比113.3%増)と同社初の100億円突破となった。またプリペイドカードの汎用性を高めたブランドプリペードカードの取扱高も、42億2500万円(同138.5%増)と大きく伸びた。

 このため今6月期通期業績は、IPO時予想に変更はなく、売り上げ22億5484万円(前期比38.2%増)、営業利益2億5161万円(同33.5%増)、経常利益2億3678万円(同45.2%増)、純利益2億2333万円(同48.7%増)と見込み前期の過去最高を大幅に更新する。今後についても、同社がASPサービスを展開している国内プリペイドカード市場は、2015年の7兆5000億円から2021年には13兆円と年平均率で10.5%の高成長をすると予測される好市場環境下、国内トップに位置し中国、東南アジアへの海外展開を積極化している同社業績の成長可能性をさらに高めることになる。

■「トランプ・リスク」で急落の3分の1戻し水準から初値・最高値奪回へ再発進

 株価は、公開価格を2040円としてIPOされ、4315円で初値をつけ4420円まで買い進まれ、上3500円安値へ下ぶれたものの、そこから2営業日連続のストップ高を演じて上場来高値5120円まで買い上げられ、公開価格比2.5倍となる高人気となった。同高値後は、米国大統領選挙全般に絡む「トランプ・リスク」や1Q赤字着地で上場来安値2930円に突っ込み、底上げ転換している。急落幅の3分の1戻し目前のここからは、初値を上抜き、最高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る