【株式評論家の視点】AWSは「IBM Watsonエコシステムプログラム」に参画すると発表

株式評論家の視点

 AWSホールディングス<3937>(東マ)は、本年6月21日に東京証券取引所マザーズに上場。同社グループの前身であるAWS社(Advanced World Systems, Inc.)は、1993年に創業し、20年以上に渡るフィリピンでのオフショア開発実績をベースに確固たる事業基盤を同国で築いた。同社グループは、既存の製造業とサービス業、金融、医療のほか、今後は自動車・ロボット分野におけるデータ融合型AI(人工知能)を視野に入れた領域を事業ドメインとしているほか、国際化や少子高齢化などの社会構造の変化、医療生命科学やロボット・人工頭脳の分野における技術革新などの社会変革を新規ビジネス創出のチャンスと捉え、グローバル目線を持って「Go Global Company」として国益に資する事業モデルを展開している

 グローバル事業においては、同社グループの顧客層である日本の製造業等が開発・製造拠点を中国に集中するリスクを回避するため、ASEAN諸国を中心に新たな拠点を開設する動き(チャイナ・プラスワン)を背景に、同社グループの主要開発拠点であるフィリピンが有力候補先の一つとして捉える動きは続いており、同社顧客においても案件の引き合いが活発化しており、引き続き堅調に推移すると見込んでいる。 メディカル事業においては、既存のレセプト点検ソフトウェア「Mighty CheckerR」の堅調な推移を見込むほか、前期より提供を開始した新商品、新サービスが業績へ本格的に貢献する見通し。

 今2017年3月期第2四半期業績実績は、売上高が14億4700万円、営業利益が1億2800万円、経常利益が1億7300万円、純利益が1億0500万円に着地。前16年3月期第2四半期は、四半期連結財務諸表を作成していないため、前16年3月期第2四半期の数値と今17年3月期第2四半期の対前年同四半期増減率を記載はないが、第2四半期営業利益は計画を26.7%上ブレし、順調に推移している。

 今17年3月期業績予想は、売上高が34億3400万円、営業利益が2億7100万円、経常利益が2億7000万円、純利益が1億6700万円を見込む。前16年3月期は、連結財務諸表を作成していないため、前16年3月期の数値と今17年3月期の対前年期増減率を記載はないが、第2四半期業績は利益計画を上回っており、通期業績予想の上ブレも視野に入る。

 株価は、6月27日につけた株式分割前の高値6035円から7月27日に分割前の安値2402円まで調整を挟んで9月1日高値4590円と上昇。11月9日に分割後の安値2700円と売り直された後、下値もみ合いから出直る動きとなっている。同30日前場引け後にソフトバンクグループが日本IBMと共同で構築・提供する「IBM Watsonエコシステムプログラム」に参画すると発表。これを材料視した買いが入っている。このコシステムプログラムは、日本市場でIBM Watson(自然言語処理と機械学習を使用して、大量の非構造化データから洞察を明らかにするテクノロジー・プラットフォーム)を活用したサービスの導入を推進させるためのパートナープログラムで、これに参画することで様々な業界において協業を推進し、積極的にIBM Watson日本語版を活用したソリューションサービスを提供することが可能になることから、今後の事業展開に期待が高まっている。足元の業績は順調で3000円どころを下値として固めており、押し目買い優位に上値抵抗線の4590円を目指すことが期待されそうだ。(株式評論家・信濃川)

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