【株式評論家の視点】ナノキャリアは下値圏に届きモミ合い、14日に今3月期第3四半期決算を発表

株式評論家の視点

 ナノキャリア<4571>(東マ)は、2008年3月に東京証券取引所マザーズに上場。1996年に設立。ミセル化ナノ粒子技術を基盤に創薬の研究開発を進め、製品化に到達するために事業段階に応じた事業展開を図っている。2000年に千葉県柏市に研究所を設置し本格始動。抗がん剤の開発を主力に、技術革新に挑んでいる。14年に本社機能と研究所機能を統合し、研究開発体制の強化を図り、現在臨床試験を国内外で実施している。

 研究・臨床・化粧品においては、日本を含むアジア地域における膵がんPIII試験の推進(NC-6004)、米欧におけるバスケット・デザイン方式によるPII試験の推進(NC-6004)、米欧・台湾における頭頸部がんのPI試験の推進(NC-6004)米国でのIND申請(NC-6300) 、siRNA医薬品に関する中外製薬との共同研究推進(Active型NanoFect) 、新エクラフチュールの研究開発の推進(化粧品事業)、収益・事業開発においては、エクラフチュール・エクシアAL用原料の安定供給及びDepthの販売強化、事業提携・共同研究開発・イセンスアウト等の新規契約締結に向けた事業開発活動の強化に取り組んでいる。

 今2017年3月期第2四半期業績実績は、売上高が8300万円(前年同期比6.4倍)、営業損益が12億7600万円の赤字(同9億2100万円の赤字)、経常損益が17億7000万円の赤字(同9億0400万円の赤字)、最終損益が17億7100万円の赤字(同9億0600万円の赤字)に着地。

 今17年3月期業績予想は、売上高が1億8200万円(前期比25.1%減)、営業損益が34億5200万円の赤字(同20億8200万円の赤字)、経常損益が34億1000万円の赤字(同23億8100万円の赤字)、最終損益が34億7500万円の赤字(同25億3700万円の赤字)を見込む。

 株価は、昨年4月19日につけた昨年来の高値2095円から同11月9日安値799円まで調整し、興和(名古屋市中区)とのエピルビシンミセル「NC-6300(K-912)」の全世界における独占的な製造・販売のライセンスおよび共同開発契約の解除を織り込み、同12月13日高値1020円と上昇。その後、軟調展開となっていたが、下値圏の800円どころに届きモミ合っている。開発中のエピルビシンミセルについて、軟部肉腫を対象とした第1/2相臨床試験に関する治験計画届出書を、米国FDA(食品医薬品局)に昨年12月30日付(現地時間)で提出しており、今後の展開に市場の関心が向か。2月14日に予定される今17年3月期第3四半期決算の発表を機に持ち直すか注目したい。(株式評論家・信濃川)

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