【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パイプドビッツは13年8月以来の2000円台回復、中期成長力を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 情報資産プラットフォーム事業のパイプドビッツ<3831>(東1)の株価は1月26日に2025円まで上伸した。13年8月以来の2000円台回復だ。足元は利益確定売りが優勢になったが自律調整の範囲だろう。強基調の形であり、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(データ管理などクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト」など)、ソリューション事業(ネット広告制作、アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運営受託、子会社ペーパーレススタジオジャパンのBIMコンサルティング事業など)を展開している。

 情報資産プラットフォーム事業は「スパイラル」、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」、会計クラウド「ネットde会計」「ネットde青色申告」、クラウド型グループウェア×CMS×SNS連携プラットフォーム「スパイラルプレース」などを主力して展開している。

 また薬剤・医療材料共同購入プラットフォーム「JoyPla」、美容関連のヘアカルテ共有サービス「美歴」、地域密着型SNS「I LOVE 下北沢」、政治・選挙プラットフォーム「政治山」、BIM建築情報プラットフォーム「ArchiSymphony」などを展開し、14年3月にはアズベイスを子会社化してコールセンタープラットフォームサービス「BizBase」にも事業領域を広げている。

 1月21日には、情報資産プラットフォーム「スパイラル」新版1.11.10を発表した。一覧表機能の検索性向上に加えて、迷惑メール対策技術DMARC(ディーマーク)対応などのメール機能を強化した。2月10日から提供を開始する。1月28日には、クラウド型会計ソフト「ネットde会計」「ネットde青色申告」新版15.1.0の提供開始を発表した。平成26年分所得税確定申告書に対応した。

 今期(15年2月期)の連結業績見通し(3月31日公表)は、売上高が前期比27.1%増の32億円、営業利益が同23.9%増の7億円、経常利益が同23.7%増の7億円、純利益が同22.6%増の4億20百万円、配当予想が同3円増配の年間16円(第2四半期末7円、期末9円)としている。

 情報資産プラットフォーム事業の好調が牽引して大幅増収増益見通しだ。広告事業では「スパイラルアフィリエイト」を中心に販売活動を強化し、ソリューション事業ではビッグデータ関連の大型案件獲得を目指すとしている。

 第3四半期累計(3月~11月)は、情報資産プラットフォーム「スパイラル」の機能強化の効果などで前年同期比27.7%増収、同37.6%営業増益、同35.5%経常増益、同29.7%最終増益だった。第3四半期末の有効アカウント数(全事業合計)は同3373件増加の1万166件となった。

 そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.3%、営業利益が68.1%、経常利益が67.7%、純利益が65.6%である。ストック型収益構造であることを考慮すれば概ね順調な水準だろう。

 四半期別の営業利益を見ると、第1四半期(3月~5月)1億40百万円、第2四半期(6月~8月)1億65百万円、第3四半期(9月~11月)1億71百万円と増加基調である。情報資産プラットフォーム事業が牽引して中期的にも収益拡大基調が期待される。

 14年3月発表の「中期経営計画2017」では、15年2月期から17年2月期を「次世代ITベンダーへと革新する3ヵ年」と位置付けて、目標数値に17年2月期売上高92億円、営業利益28億円を掲げている。

 なお14年9月に純粋持株会社制への移行検討開始を発表している。経営効率の向上、組織再編の柔軟性・機動性確保、グループ全体の最適化とガバナンス機能の強化を目的として、15年5月下旬開催予定の定時株主総会での承認等が得られることを条件として、15年9月1日を目途に純粋持株会社制へ移行する方針だ。

 株価の動きを見ると、1月中旬に1700円近辺の短期モミ合いから上放れの展開となった。そして13年9月の戻り高値1950円を突破し、1月26日には2025円まで上伸した。13年8月以来の2000円台回復だ。足元は利益確定売りで1800円台まで一旦調整したが自律調整の範囲だろう。

 2月3日の終値1834円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円86銭で算出)は34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS271円44銭で算出)は6.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。また日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して自律調整が一巡した。強基調の形であり、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る