燦キャピタルマネージメントは17年3月期赤字予想の織り込み完了して底値圏、18年3月期の収益改善期待

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 燦キャピタルマネージメント<2134>(JQ)は事業を再構築し、インバウンド向け宿泊関連事業、クリーンエネルギー関連事業、および販売用不動産投資事業を軸として、収益改善・安定化を目指している。株価は水準を切り下げたが、ほぼ底値圏だろう。17年3月期赤字予想の織り込みが完了し、18年3月期の収益改善期待でリバウンドの可能性がありそうだ。

■事業再構築して収益改善・安定化目指す

 投資事業、アセットマネージメント事業、その他の事業を展開してきたが、17年3月期から、宿坊や古民家など観光客や留学生を対象としたインバウンド向け宿泊関連事業、国内外でバイオマス発電用原料(木質系ペレット)を製造販売するクリーンエネルギー関連事業、および販売用不動産投資事業を新たな軸として、収益改善・安定化を目指している。

 なお過去継続して、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。

■インバウンド向け宿泊関連事業は高利回り目指す

 インバウンド向け宿泊関連事業は、不動産ファンドのSPV(特別目的事業体)を設立・出資し、観光客や留学生を対象とした宿坊や古民家など大手と競合しない小型案件で、稼働率の高い宿泊施設に投資して高利回りを目指す。

 大阪市天王寺区下寺町で進行中の「和空下寺町プロジェクト」に関しては、当社のアレンジメント・サービス業務が終了(2月10日公表)となったが、京都府および和歌山県での案件を関係企業と協議中としている。

■クリーンエネルギー関連事業はバイオマス発電原料を製造販売

 クリーンエネルギー関連事業は、国内外でバイオマス発電用原料(木質系ペレット)を製造販売する。16年11月シンガポールSGPE社(旧MGPE社、子会社化に伴って社名変更)を完全子会社化した。

 SGPE社はタイにおける木質系ペレット製造販売、インドネシアにおけるバイオディーゼル燃料を使った発電事業、インドネシアにおけるPKS(油やし核殻)の集荷・販売など、東南アジアにおけるバイオマス関連製品製造販売事業、および日本への木質系ペレットの輸出販売事業などを計画している。

 そして17年2月には、国内におけるバイオマス発電用原料(木質系ペレット)の製造販売事業、および太陽光発電への投資事業、ならびにその他クリーンエネルギー関連事業を展開するための準備会社として、SGPE社の100%出資子会社(当社の孫会社)SGPEジャパン(仮称)設立を発表した。

■17年3月期は赤字予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想は2月14日に修正を発表した。前回予想(5月13日公表)に対して、売上高は11百万円増額して2億83百万円、営業利益は2億70百万円減額して2億39百万円の赤字、経常利益は2億81百万円減額して2億66百万円の赤字、純利益は4億09百万円減額して2億77百万円の赤字とした。

 黒字予想から一転して赤字予想となり、前期(16年3月期)との比較でも赤字が拡大する見込みだ。修正理由は下記のとおりである。

 大阪市天王寺区下寺町の宿坊施設開発・運営事業に関するアレンジメント・サービス業務終了に伴って、計画していたアレンジメント報酬およびSPVエグジット時のキャピタルゲイン報酬(約1億60百万円)を計上できなくなった。売上高および売上総利益減少要因となる。

 16年6月末に予定していた子会社の鳥取カントリー倶楽部の株式譲渡交渉が一旦白紙となったため、計画していた特別利益(約1億20百万円)を計上できなくなった。一方で16年7月以降も連結決算に取り込むこととなった。売上高増加(7月以降の約1億20百万円)要因、売上原価・販管費増加(7月以降の約1億10百万円)要因、特別利益減少(約1億20百万円)要因となる。

 16年11月からSGPE社を新規連結した。売上高増加(約6百万円)要因、売上原価・販管費増加(約4百万円)要因となる。

 なお今期後半から取り組んでいる販売用不動産投資事業では1件成約した。

 また利益面では、新体制構築に伴う人件費の増加、東京支店開設や新規海外事業に係る費用の増加、海外子会社買収に係る費用の発生、第三者割当増資に係る費用の発生なども影響する。

 今期(17年3月期)は赤字予想となったが、今後は来期(18年3月期)の収益改善・安定化に向けて、新たな戦略の進捗および成果が注目点となる。

■株価はほぼ底値圏、17年3月期赤字予想の織り込み完了

 株価の動きを見ると、17年3月期赤字予想も嫌気して水準を切り下げ、3月2日には75円まで調整した。ただし16年1月安値65円まで下押す動きは見られない。ほぼ底値圏だろう。

 3月6日の終値は78円だった。時価総額は約24億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、17年3月期赤字予想の織り込みが完了し、18年3月期の収益改善期待でリバウンドの可能性がありそうだ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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