【水田雅展の株式・為替相場展望】引き続き不安定だが、為替はドル高・円安方向、日経平均株価は上値を試す可能性

銘柄分析

(9日~13日)

2月9日~13日(11日の日本市場は休場)の株式・為替相場は、引き続き不安定な展開だろう。ただしギリシア問題に不透明感が残るものの、米1月雇用統計が強い内容だったことに加えて、原油価格が下げ止まり感を強めてきたことで、徐々にリスクオンの動きが強まりそうだ。為替はドル高・円安方向に傾き、これを好感して日経平均株価は上値を試す可能性もあるだろう。

前週末6日発表の米1月雇用統計で、非農業部門雇用者数が前月比25.7万人増加と市場予想(23万人)を上回り、11月と12月も大幅に上方修正された。賃金も上昇した。この結果を受けて米10年債利回りは1.96%台まで急上昇した。そして為替はドル買いの動きが強まり、ドル・円相場は1ドル=119円20銭近辺までドル高・円安方向に傾いた。米FRB(連邦準備制度理事会)の6月の利上げ開始、あるいは利上げ開始時期の前倒しを意識した動きだ。米国株は雇用統計を好感して買いが先行したものの、ギリシア国債の格下げを嫌気して下落に転じた。

もちろん、現時点で6月の利上げ開始の確信を強めたというわけではなく、9日~10日のG20財務相・中央銀行総裁会議や、今後の米主要経済指標の強弱感しだいで思惑が交錯する可能性があるが、1ドル=117円~119円近辺で膠着感を強めていたドル・円相場に関しては、一旦ドル高・円安方向に傾く可能性があるだろう。

日本株に関しては、ドル高・円安進行を好感する形で輸出関連セクターを中心に買い優勢となりそうだ。日経平均株価が1万8000円台に再挑戦する可能性があるだろう。日本株が米国株離れの動きを強めるかも注目点だ。

物色面では、ドル高・円安進行を好感して輸出関連セクターに対する買いが優勢となるほか、引き続き業績発表を受けての個別物色が中心となる。ただし国内3月期決算企業の10~12月期業績発表は、大手ゼネコンなどを残して主力銘柄の発表が概ね一巡した。そして実績や通期見通しを精査したアナリストレポートが出始める頃であり、発表直後の初期反応を是正する動きが見られる可能性もあるだろう。

また12日に今年最初のIPO銘柄が東証マザーズに新規上場する。冴えない動きが続く東証マザーズ市場全体への刺激材料となるかも注目点だろう。

その他の注目スケジュールとしては、9日の日本12月国際収支、日本1月景気ウォッチャー調査、インド10~12月期GDP、10日の中国1月PPI・CPI、11日の米1月財政収支、12日の日本1月機械受注、日本1月企業物価指数、米1月小売売上高、12日~13日のEU首脳会議、13日のユーロ圏10~12月期GDP速報値、米1月輸入物価指数、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

その後は、16日の日本10~12月期GDP1次速報、17日~18日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。(アナリスト)

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