ラクーンはモミ合い上放れて年初来高値更新、利用企業数増加基調で18年4月期2桁増益予想

日インタビュ新聞ロゴ

 ラクーン<3031>(東1)はBtoB電子商取引スーパーデリバリー運営、クラウド受発注COREC事業、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスPaid事業、売掛債権保証事業を展開している。利用企業数が増加基調で18年4月期2桁増益予想である。株価はモミ合いから上放れて年初来高値更新の展開となった。上値を試す展開が期待される。なお11月29日に第2四半期決算発表を予定している。

■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力

 アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。またスーパーデリバリーの越境ECサービス(海外販売)「SD export」も展開している。

 17年4月期セグメント別(連結調整前)売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)58%、Paid事業15%、保証事業26%、営業利益構成比はEC事業53%、Paid事業7%、保証事業40%だった。

 出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。なお決算短信および有価証券報告書のセグメント情報においては、間接コスト(本社費用)を全てEC事業負担としているため、EC事業のセグメント利益は他の事業と比べて相対的に小さく表示されている。

 17年4月期のスーパーデリバリー全体流通額は16年4月期比2.6%増の98億34百万円、スーパーデリバリー会員小売店数は1万8148店舗増の7万520店舗、出展企業数は51社増の1189社となった。またCORECユーザー数は1万1092社となった。

 Paid事業はサービス改良によって業種・業態を問わず、あらゆるBtoB向けサービスへの導入やFinTech分野への展開も推進している。17年10月には導入企業数が2500社を突破したと発表している。また11月8日には、デイープラーニング(深層学習)を活用した自社開発AI(人工知能)による与信審査を年明けを目途に開始すると発表している。

■18年4月期2桁増益予想

 今期(18年4月期)連結業績予想(6月9日公表)は売上高が前期(17年4月期)比8.1%増の25億50百万円、営業利益が16.4%増の4億90百万円、経常利益が17.1%増の4億85百万円、純利益が17.3%増の3億円としている。配当予想は未定としている。

 経営基盤強化に向けた先行投資を継続するが、スーパーデリバリーにおいて成長余力のある海外市場の流通額拡大、小売以外の事業者の流通額拡大、国内流通の本格的な成長路線への回帰に注力し、COREC、Paid事業、売掛債権保証事業も順調に拡大して2桁増益予想である。

 第1四半期は売上高が前年同期比7.5%増収、営業利益が12.3%増益、経常利益が11.1%増益、純利益が19.9%増益だった。売上総利益率は85.5%で0.2ポイント上昇、販管費比率は68.2%で0.5ポイント低下した。

 EC事業は売上高が5.0%増の4億11百万円で、営業利益が0.4%増の45百万円だった。スーパーデリバリー全体流通額は7.0%増の25億40百万円だった。国内が小売業以外の事業者への流通増加などで2.5%増と堅調に推移し、海外は68.9%増と大幅伸長した。スーパーデリバリー会員小売店数は17年4月期末比5151店舗増の7万5671店舗、出展企業数は9社増の1198社、商材掲載数は8665点増の64万6317点となった。CORECユーザー数は1417社増の1万2509社となった。

 Paid事業は売上高が21.6%増の1億15百万円で、営業利益が5.1倍の9百万円だった。加盟企業が順調に増加し、取扱高増加で営業損益が改善した。加盟企業数は2400社を超え、グループ内含む取扱高は23.6%増加の45億14百万円となった。

 保証事業は売上高が6.3%増の1億90百万円で営業利益が8.0%増の54百万円だった。16年8月開始した「URIHO」の伸長も寄与して、グループ内含む保証残高は17年4月期末比11.6%増の126億64百万円となった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.0%、営業利益21.6%、経常利益21.5%、純利益23.1%である。ストック型収益構造であり、通期ベースでも好業績が期待される。

■株価はモミ合い上放れて年初来高値更新

 株価は600円~650円近辺でのモミ合いから上放れて年初来高値更新の展開となった。11月27日には751円まで上伸した。

 11月27日の終値742円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円14銭で算出)は43倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS108円89銭で算出)は6.8倍近辺である。時価総額は約137億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。そして13週移動平均線も上向きに転じて先高感を強めている。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AIとベイジアンネットワーク解析で165項目を抽出、複雑な因果関係を構造化  大正製薬は11月2…
  2. ■Blackwell GPU2140基で研究競争力を拡大  NVIDIA(NVDA:NASDAQ)…
  3. ■銀座の呉服店「むら田」店主・村田あき子の語りをまとめた書籍  KADOKAWA<9468>(東証…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る