【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エスプールは調整一巡して水準切り上げ、15年11月期業績見通しに増額余地

銘柄分析

 人材サービスのエスプール<2471>(JQS)の株価は、1月中旬~2月上旬の直近安値圏900円近辺での調整が一巡して水準切り上げの動きを強めている。今期(15年11月期)業績の保守的な会社見通しを嫌気した売りが一巡したようだ。今期業績見通しに増額余地があり、収益拡大基調を評価してボックス上放れの展開が期待される。なお4月2日に第1四半期(12月~2月)の業績発表を予定している。

 ビジネスソリューション事業(ロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援・就労移行支援サービス、フィールドマーケティングサービス、マーチャンダイジングサービス、販売促進支援業務、顧問派遣サービスなど)、人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、携帯電話販売員派遣、ストアスタッフ派遣など)を展開している。

 ロジスティクスアウトソーシングサービスはネット通販市場拡大が追い風であり、子会社エスプールロジスティクスが、ECサイト出店企業などの物流センター運営・発送代行サービスで新規顧客獲得を推進している。

 障がい者雇用支援サービスは、障がい者雇用促進法に基づいて大企業の障がい者雇用をサポートしている。企業向け賃貸農園「わーくはぴねす農園」の栽培設備販売収入と農園運営管理収入を収益柱としている。子会社エスプールプラスが運営する千葉県市原市「わーくはぴねす農園 市原ファーム」では23社の企業がサービスを利用し、14年6月に新設した千葉県長南町「わーくはぴねす農園 茂原ファーム」も完売した。15年2月には第3農園となる山武農園を開設し、15年後半にも複数の農園の開設を計画している。高付加価値サービスとして千葉県を中心に事業規模を拡大する方針だ。

 2月4日には、子会社アスプールプラスが就労移行支援事業所「障がい者就職塾」千葉校を千葉県千葉市に開設すると発表した。今回の事業所開設で「障がい者就職塾」のネットワークは5拠点となる。これまで4年間で約150名の知的障がい者が就職し、退職率が1%未満という高い定着率を誇っている。

 フィールドマーケティングサービスでは、電力会社が推進するスマートメーター関連業務の拡大を推進している。14年9月にはフィールドマーケティングサービスを展開する子会社エスプールエコロジーが、一般建設業(電気工事業、電気通信工事業)の許可を取得し、移動通信キャリアの通信・ネットワーク機器の設置業務、電力計のスマートメーター化に関連したサポート業務の事業拡大を推進している。

 人材ソリューション事業(子会社エスプールヒューマンソリューションズ)では、ファミリーマート<8028>のFC店舗向けに人材提供を一括で行う「人材サポートセンター」を設立し、コンビニエンスストア向けストアスタッフサービスを強化している。

 なお14年11月には、販売促進支援業務に特化した子会社エスプールセールスサポートを設立した。マーチャンダイジング業務、クレジットカードなどの会員獲得業務、販売イベントブースの運営業務など、複数の事業部や子会社で提供していた販売促進支援業務を集約して、事業拡大と収益性向上を目指す戦略だ。

 今期(15年11月期)の連結業績見通し(1月14日公表)は売上高が前期比10.5%増の73億円、営業利益が同9.4%増の2億26百万円、経常利益が同11.8%増の2億14百万円、純利益が同9.6%増の1億81百万円、配当予想が前期と同額の年間10円(期末一括)としている。

 セグメント別(内部取引および全社費用等調整前)の計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が同28.2%増の34億68百万円、営業利益が同46.1%増の4億10百万円、そして人材ソリューション事業の売上高が同0.5%増の40億円、営業利益が同17.8%減の2億55百万円としている。なお人材ソリューション事業からビジネスソリューション事業への業務移管(セグメント組替)の影響は売上高で約2億40百万円としている。

 ロジスティクスアウトソーシングサービス、障がい者雇用支援サービス、スマートメーター関連業務、コールセンター業務などの主力事業が順調に拡大する。増収増益で売上高と営業利益は過去最高を更新する見通しだ。スタッフ採用難を織り込んで保守的な見通しとしているが、増額余地があるだろう。

 15年1月に発表した新中期経営計画「Next2020-変化への挑戦」では、中期ビジョンとして「NO.1アウトソーシング・プロバイダー」を掲げた。社会貢献性・成長性の高い分野での事業展開、ニッチな分野・参入障壁の高い分野での事業展開を推進し、経営目標値は営業利益率5%の早期達成と20年度までに業界最高水準10%の達成、安定的かつ継続的な配当の実施、ROE最低5%堅持とした。高付加価値サービスが牽引して収益拡大基調が期待される。

 株価の動きを見ると、1月中旬~2月上旬の直近安値圏900円近辺での調整が一巡し、徐々に水準切り上げの動きを強めている。2月中旬には1000円台を回復する場面があった。今期業績の保守的な会社見通しを嫌気した目先的な売りが一巡し、今期の増収増益見通しを評価する動きだろう。

 3月3日の終値949円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円37銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS251円66銭で算出)は3.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を挟むレンジでボックス展開の形だが、日足チャートで見ると上向きに転じた25日移動平均線がサポートラインの形となった。今期業績見通しに増額余地があり、収益拡大基調を評価してボックス上放れの展開が期待される。

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