【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インフォメーションクリエーティブはマイナンバー制度関連で急騰

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ソフトウェア開発やシステム運用のインフォメーションクリエーティブ<4769>(JQS)の株価が急騰している。11日はストップ高の1052円まで上伸し、13年11月の上場来高値1060円に接近した。マイナンバー制度関連を材料視しているようだ。乱高下の可能性もあるが、指標面に割高感はなく目先的には上値追いの展開となりそうだ。

 ソフトウェア開発事業、システム運用事業、その他事業(パッケージ開発・販売)を展開し、顧客に常駐する型で情報サービス分野における総合的なソリューションサービスを提供している。顧客別に見ると日立システムズや日立ソリューションズなど、日立製作所<6501>グループ向けが全体の約6割を占めて収益源となっていることも特徴だ。

 13年11月発表の新中期経営計画(14年9月期~16年9月期)では、基本戦略としてソフトウェア開発・システム運用などのITソリューション事業の安定成長、自社パッケージ開発・販売のITサービス事業の成長加速、強固な人材・組織基盤の構築を推進している。

 経営目標値は16年9月期売上高80億円(ITソリューション事業76億円、ITサービス事業4億円)、売上高経常利益率8.0%を掲げ、長期ビジョンでは100億円企業、東証2部上場を目指している。

 14年6月には美容室・サロン向けスマホアプリ制作サービス「LAPPLI(ラプリ)」をリリースし、11月には美容サロンの情報を無料掲載できる美容ポータルサイト「LAPOLU(ラポル)」を開始した。スマホアプリ制作サービス「LAPPLI」との機能連携強化や美容情報などのコンテンツ充実により、15年9月末までに500店舗のサービス利用を目指すとしている。

 今期(15年9月期)の業績(非連結)見通しについては前回予想(11月7日公表)を据え置いて、売上高が前期比10.1%増の71億34百万円、営業利益が同17.1%増の4億05百万円、経常利益が同14.4%増の4億37百万円、純利益が同2.8倍の2億76百万円、配当予想が前期と同額の年間24円(期末一括)としている。

 大型案件への活発なIT投資が見込まれる金融機関、マイナンバー制度関連のシステム整備が見込まれる官公庁案件を中心として、ソフトウェア開発の需要が拡大する見通しだ。利益面では前期の一部案件の作業超過発生の影響が一巡し、純利益は前期計上の特別損失(ソフトウェアの減損および投資不動産の減損)一巡も寄与する。

 第1四半期(10月~12月)は前年同期比6.0%増収、同23.0%営業減益、同18.1%経常減益、同4.8倍最終増益だった。売上総利益率の低下、販管費の増加で営業減益だったが、売上面は好調に推移している。純利益は減損損失の一巡が寄与した。

 通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が22.4%、営業利益が17.8%、経常利益が18.5%、純利益が18.1%と低水準の形だが、第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の構成比が高い収益構造であり、特にネガティブ要因とはならないだろう。通期ベースでの好業績が期待される。

 株価の動きを見ると、800円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だったが、終値ベースで3月6日に前日比38円高、9日にストップ高となる同150円高と動意付いた。10日は同90円安と一旦反落したが、11日は再びストップ高となる同150円高の1052円まで急伸した。マイナンバー制度関連を材料視したようだ。

 3月11日の終値1052円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS72円13銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS869円73銭で算出)は1.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると750円~850円近辺のボックスレンジから上放れの形となり、急伸した13年11月の上場来高値1060円に接近した。過熱感を強めて乱高下の可能性もあるが、指標面に割高感はなく目先的には上値追いの展開となりそうだ。

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