トーセは18年8月期予想下方修正に対する売り一巡感

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 トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオなどを強みとしている。18年8月期は、顧客要望による開発案件の中止や次期ズレ込み、開発人員減少に伴う受注計画見直しなどで下方修正し、大幅増益予想から一転して大幅減益予想となった。株価は急落して水準を切り下げたが、売り一巡感を強めている。

■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手
 
 家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営などの受託)、その他事業(東南アジア向けコンテンツ配信事業、SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、パソコン向けアバター制作事業などの新規事業)を展開している。
 
 複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力と強固な財務基盤、豊富な実績に裏付けされた開発売上と積み上げ型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴・強みとしている。約1000名のスタッフ数は独立系受託開発企業として業界最大規模である。
 
 16年8月期スタートの中期経営計画では、重点施策としてサービス業務の拡大、グローバル化の推進、サービス分野の拡大、収益基盤の拡充に取組んでいる。
 
 なお収益は、開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上で、大型案件の開発受託の有無や開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。またプロジェクトの大型化に伴って開発期間が長期化する傾向を強めている。
 
 なお17年8月期の開発完了タイトル数は、家庭用ゲーム機向け10タイトル、PC向け6タイトル、パチンコ・パチスロ向け1タイトル、アミューズメント向け2タイトル、スマホ向け14タイトル、合計33タイトルだった。
 
■18年8月期下方修正して大幅減益予想
 
 18年8月期連結業績予想は4月5日に下方修正した。修正後は売上高が17年8月期比1.7%減の46億25百万円、営業利益が46.7%減の1億64百万円、経常利益が50.0%減の2億03百万円、純利益が35.9%減の1億34百万円とした。大幅増益予想から一転して大幅減益予想となった。
 
 スマホ向けゲーム開発の引き合いは堅調だが、開発期間の長期化に伴って顧客要望による開発の中止や開発完了の次期へのズレ込みが複数案件発生し、開発売上が減少する。また人材獲得競争激化に伴って開発人員が想定以上に減少し、受注計画を見直したため、売上高が計画を大幅に下回る見込みだ。売上高の減少に伴って売上総利益が減少する。
 
 第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.2%増の18億89百万円で、営業利益が91百万円(前年同期は54百万円の赤字)、経常利益が327.2%増の1億12百万円、純利益が48百万円(同90百万円の赤字)だった。増収効果に加えて、開発費用の一部を当社が負担してロイヤリティ売上で回収する案件が無かったことも寄与して黒字化した。
 
 開発完了タイトル数は家庭用ゲーム機向け1タイトル、PC向け1タイトル、スマホ向け8タイトル、合計10タイトルだった。デジタルエンタテインメント事業は10.5%増収で、製品別内訳はゲームソフト関連が38.6%減収、モバイルコンテンツ関連が71.9%増収、パチンコ・パチスロ関連が4.4%増収だった。その他事業は13.6%減収だった。
 
 なお配当予想は据え置いて、17年8月期と同額の年間25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)としている。予想配当性向は141.1%となる。
 
■株価は売り一巡感
 
 株価は急落して水準を切り下げる形となったが、1100円台で推移して売り一巡感を強めている。
 
 4月16日の終値1161円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円72銭で算出)は約66倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS775円79銭で算出)は約1.5倍である。時価総額は約90億円である。
 
 日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%を超えている。売り一巡を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展) 

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