インフォマートは自律調整一巡感、18年12月期1Q減益だが計画超、通期は大幅増益予想

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 インフォマート<2492>(東1)は企業間電子商取引「BtoBプラットフォーム」を運営している。18年12月期第1四半期は前年同期比では減益だったが、計画を上回った。利用企業数が増加基調であり、通期はソフトウェア償却費減少も寄与して大幅増益予想である。株価は上場来高値圏から一旦反落したが、自律調整一巡感を強めている。

■企業間(BtoB)電子商取引プラットフォームを運営

 企業間の商行為を電子化する企業間電子商取引プラットフォーム「BtoBプラットフォーム」として、企業間受発注業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注、食の安全・安心の商品仕様書DBであるBtoBプラットフォーム規格書、企業間請求書発行・受取業務をWeb上で行うBtoBプラットフォーム請求書、BtoB専用の販売・購買システムであるBtoBプラットフォーム商談を運営している。

 17年6月には受発注の新システム(卸・食品メーカー)の提供を開始、17年9月には無料で使えるBtoBプラットフォーム見積書の提供を開始した。17年11月にはBtoBプラットフォームが、一般社団法人クラウドサービス推進機構(CSPA)の「クラウドサービス認定プログラム」に認定された。18年3月にはeBASE社との訴訟に関して勝訴したと発表している。

 システムをネット経由で提供するクラウド型サービスであり、利用企業数増加に伴って月額課金のシステム使用料収入が拡大する。売上高の95%が月額システム使用料のストック型収益モデルである。配当政策は個別業績に応じた配当性向50%を基本方針としている。

■国内最大級のBtoBプラットフォームで利用企業数は増加基調

 フード業界向けで外食と食材卸の間の受発注をWeb上で行うBtoBプラットフォーム受発注を主力として、全業界を対象とするBtoBプラットフォーム請求書の利用企業数も増加基調である。国内最大級のBtoBプラットフォームである。

 18年3月末のBtoBプラットフォーム利用企業数(無料利用含む全業界ID数で集計、海外除く)は17年12月末比1万5855社増加の19万1254社、事業所数(本社・支店・営業所・店舗)は3万5049事業所増加の51万5776事業所となった。

 受発注(外食・卸)は買い手企業数(外食)が80社増加の2436社、売り手企業数(卸)が515社増加の3万2454社、17年6月提供開始の受発注(外食・食品メーカー)は買い手企業数(卸)が44社、売り手企業数(卸・食品メーカー)が481社となった。

 規格書は買い手機能が17社増加の575社、卸機能が10社増加の602社、メーカー機能が30社減少の6234社、請求書は利用企業数合計が1万2374社増加の18万430社(うち有料契約数は229社増加の2960社)、商談は買い手が27社増加の6989社、売り手が17社増加の1571社となった。

 BtoB標準プラットフォームを実現するため、他社とのシステム連携戦略を強化して利用企業数100万社への普及を目指すとしている。またFinTech分野に関しては、請求書関連業務の新たなモデル作りのため各金融機関・パートナーとともに実証実験を推進する。

■18年12月期1Q減益だが計画超、通期は大幅増益予想

 18年12月期の連結業績予想は、売上高が17年12月期比18.7%増の79億65百万円、営業利益が42.3%増の25億12百万円、経常利益が42.8%増の25億円、純利益が4.4倍の16億74百万円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比12.7%増の17億88百万円だが、営業利益が6.7%減の4億81百万円、経常利益が8.3%減の4億65百万円、純利益が8.7%減の3億11百万円だった。システム使用料が順調に増加したが、ソフトウェア償却費が増加して減益だった。ただし計画に対しては、増収効果や販管費の期ズレで各利益とも計画を上回った。

 通期ベースでは大幅増益予想である。各プラットフォーム利用企業数が増加基調であり、売上面ではシステム使用料が順調に増加する。利益面では、大型システム開発投資(次世代プラットフォーム開発)のソフトウェア償却費が償却期間満了で第3四半期以降に順次減少すること、さらに前期までの2年間のシステム開発強化が完了してシステム開発投資額を低減することも寄与する。純利益は特別損失の一巡も寄与する。

 なお配当予想は80銭増配の年間7円34銭(第2四半期末3円67銭、期末3円67銭)としている。予想配当性向は50.1%となる。

■中期経営計画で受発注5万社と請求書100万社目標

 中期経営計画では基本方針を、フード業界におけるBtoBプラットフォーム受発注の利用拡大・シェア拡大、BtoBプラットフォーム請求書の全業界展開・デファクト化、BtoB電子商取引プラットフォームの構築としている。

 18年12月期目標として、フード業界におけるシェア拡大では利用企業数5万社およびシステム取引高・外食シェア2兆円・30%、電子請求プラットフォームのデファクト化では利用企業数30万社およびシステム取引高5兆円、BtoB電子商取引プラットフォームの構築ではシステムコンセプトとして全業界対応BtoBプラットフォームを目指す。

 そして2020年までに、あらゆる業界にBtoBプラットフォームを提供し、グローバルなBtoBインフラ企業を目指すとしている。

■株価は自律調整一巡感

 株価は4月9日の上場来高値1139円から反落し、第1四半期業績に対してネガティブに反応する場面があったが、素早く切り返して自律調整一巡感を強めている。

 5月2日の終値1037円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS14円64銭で算出)は約71倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円34銭で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS83円08銭で算出)は約12倍である。時価総額は約1345億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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