【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東洋ドライルーブは短期調整一巡、15年6月期業績増額の可能性、低PER、低PBRを評価

銘柄分析

 ドライルーブ製品コーティング加工の東洋ドライルーブ<4976>(JQS)の株価は、2月の直近安値1568円から切り返しの動きを強めている。3月26日には1670円まで上伸する場面があった。短期調整が一巡したようだ。15年6月期業績は増額の可能性が高く、低PERと低PBRも評価して出直り展開だろう。

 ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)製品のコーティング加工を主力として、その他事業ではナノカーボン製品の製造も展開している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開している。

 ドライルーブとは、二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトなどの潤滑物質と各種特殊バインダーをハイブリッド配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の多機能皮膜である。ドライルーブでコーティング加工することにより各種素材の摩擦係数を大幅に低減できるなど、耐摩耗性に優れているため自動車機器、デジタル家電、デジタルカメラなどの駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位にコーティング皮膜として使用される。

 中期成長に向けた事業戦略では新製品・新加工技術の開発、アジア地域を中心としたグローバル展開、海外連結子会社の生産性改善を積極推進する方針を掲げている。そして新製品では発熱皮膜、放熱皮膜、撥油皮膜、超撥水皮膜、DLC皮膜、LUBICKシリーズなどの開発を強化している。

 今期(15年6月期)の連結業績見通し(8月8日公表)は、売上高が前期比1.9%減の50億30百万円、営業利益が同21.9%減の3億06百万円、経常利益が同9.1%減の3億68百万円、純利益が同17.9%減の2億47百万円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 自動車機器業界向けは底堅く推移するが、電気・電子機器業界向けがや低調となり、利益面では販売価格引き下げ要請などが影響して減収減益見込みとしている。なお為替差益については織り込んでいない。

 第2四半期累計(7月~12月)は前年同期比8.5%減収、同32.7%営業減益、同46.8%経常増益、同67.0%最終増益だった。国内は消費増税反動による在庫調整の長期化影響を受けたが、海外が好調に推移して売上高と営業利益は概ね計画水準となった。経常利益と純利益は為替差益の増加や持分法投資損益の改善が寄与して計画を大幅に上回った。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)12億08百万円、第2四半期(10月~12月)12億07百万円、営業利益は第1四半期81百万円、第2四半期70百万円である。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.0%、営業利益が49.4%、経常利益が92.7%、純利益が82.2%である。為替差益や持分法投資損益の改善が寄与して経常利益と純利益は高水準だ。

 期後半に向けて自動車や光学機器の生産増加が期待され、コスト低減効果も寄与するだろう。そしてドル高・円安進行を考慮すれば通期でも為替差益が期待される。通期見通しは増額の可能性が高いだろう。

 株価の動きを見ると、2月17日の直近安値1568円から切り返しの動きを強めている。3月26日には1670円まで上伸する場面があった。15年6月期業績見通し据え置きを嫌気した目先的な売りが一巡したようだ。

 3月30日の終値1631円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS186円55銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS4276円42銭で算出)は0.4倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。15年6月期業績は増額の可能性が高く、低PERと低PBRも評価して出直り展開だろう。

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