【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは戻り歩調、19年3月期赤字予想だが中期的にサイバーセキュリティ分野の寄与期待

企業レポート

バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業のサイバーセキュリティ分野に進出している。19年3月期は期ズレ発生で下方修正して赤字予想となったが、中期的にサイバーセキュリティ分野の寄与を期待したい。株価は下方修正に反応薄で戻り歩調だ。

■コンサルティング事業とマーケティング事業を展開

 コンサルティング事業とマーケティング事業を展開し、新規事業として18年1月サイバーセキュリティ分野に本格進出している。

 コンサルティング事業は、連結子会社バルクが情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)を展開している。バルクは情報セキュリティマネジメント分野のリーディングカンパニーで、プライバシーマーク認定取得は1800件超、ISO27001認証取得は500件超の取得支援実績を誇っている。

 マーケティング事業は、連結子会社バルクがマーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)、連結子会社マーケティング・システム・サービスがセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

 17年10月には、大気中に含まれる様々な種類のガスの同時検知を可能とする超小型高精度ガスセンサを開発した米国のAerNosに出資している。18年9月には、ブロックチェーン技術を用いてクリプトアセット(暗号化されたデジタル資産)アドバイザリー事業を展開する子会社CELを設立した。

■サイバーセキュリティ分野に進出

 サイバーセキュリティ分野は、イスラエルのサイバージムと共同事業で米国SCHを18年1月設立して進出し、将来の収益柱としての育成を目指している。サイバージム独自開発のサイバー環境を模したサイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供する。

 18年4月サイファー・テック(CT)と業務提携、18年5月イスラエル大手ベンチャーキャピタルVertex Ventures Israelのゼネラルパートナーを務めるデイビッド・ヘラー氏が米国SCHのアドバイザリーボードメンバーに就任、18年6月Jupiter(ジュピター)プロジェクトを主宰するビーオービー(BOB)と業務提携、18年7月サイバージムと出資契約を締結した。

 米国SCHは米国ニューヨークに18年7月、サイバージムがグローバル戦略の中核と位置付けているコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)の「CyberGym NYC」を開設し、18年8月日本初となるハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)の「CyberGym Tokyo」を開設、ジョージワシントン大学サイバー&国土安全保障センター所長のフランクJ・シルフォ氏が米国SCHのアドバイザリーボードメンバーに就任した。

 18年9月にはサイバートラストと協業合意書を締結した。18年11月にはサイバージムと共同で重要インフラ向けサービスを提供する米国企業(本社ロサンゼルス市)(相手先名称は守秘義務等により非開示)と、コマーシャルアリーナの販売およびサービス提供に係る基本合意書を締結した。当該米国企業がSCHを通じてサイバージムのコマーシャルアリーナを購入し、域内の顧客に対してサイバーセキュリティトレーニング・サービスを提供する。

■19年3月期赤字予想だが中期的にサイバーセキュリティ分野の寄与期待

 19年3月期連結業績予想は2月14日に下方修正(従来はレンジ予想)し、売上高が18年3月期比1.9%増の10億27百万円、営業利益が3億74百万円の赤字(18年3月期は15百万円の黒字)、経常利益が3億80百万円の赤字(同19百万円の黒字)、純利益が3億92百万円の赤字(同42百万円の黒字)としている。

 既存事業の情報セキュリティコンサルティング、マーケティングリサーチ、セールスプロモーションは概ね計画水準だが、サイバーセキュリティ―トレーニングサービスを展開する新規連結の米国SCHにおいて大型案件受注の期ズレが発生した。また当初計画よりも積極的に先行投資を実施して追加の固定費を計上した。

 なお第3四半期累計は、売上高が7億44百万円、営業利益が2億04百万円の赤字、経常利益が2億08百万円の赤字、純利益が2億21百万円の赤字だった。

 19年3月期は下方修正して赤字予想となったが、中期的にサイバーセキュリティ分野の寄与を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は18年12月安値344円から切り返し、2月22日には924円まで上伸した。下方修正に反応薄で戻り歩調だ。2月27日の終値は719円、時価総額は約63億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■国際特許分類や元素リストを用いて多様な解決策を自動生成  AGC<5201>(東証プライム)は1…
  2. ■Newton・GR00T・Cosmosを軸にロボット研究を高速化  NVIDIA(NASDAQ:…
  3. ■700億パラメータ規模の自社LLMを金融仕様に強化、オンプレ環境で利用可能  リコー<7752>…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る