【編集長の視点】Jトラストは続落も業績下方修正・減配を織り込み順調な月次データもオンして400円台固め煮詰まる

 Jトラスト<8508>(東2)は、前日14日に4円安の403円と続落して引けが、取引時間中には416円まで上値を伸ばし、400円台固めに煮詰まり感を強めている。同社株は、今年2月13日に今2019年3月期業績の赤字転落への下方修正、年間7円配当への減配を発表して昨年来安値366円へ突っ込んだが、悪材料一掃として即底上げ、いったん下値を再確認する動きとなり、続いて今年3月7日に発表した今年2月の月次データで日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業が順調に推移したことを確認したことから業績急回復も想定されるとして値ごろ株買いが下値に交錯した。連結子会社KeyHolder<4712>(JQS)の子会社SKE(東京都港区)が、アイドル・タレントの養成スクールを今年10月に開校、先立って今年8月から第1次募集を開始すると発表したことも、材料株人気の再燃期待を高めている。


■日本金融事業の債務保証残高が積み上がり新保証取扱も開始

 同社の今2019年3月期業績は、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業は好調に推移しているものの、東南アジア金融事業で連結子会社PT Bank JTrust Indonesia Tbk.(BJI)の買収前からの負の遺産の不良債権を一括処理し計上した108.4億円の損失や、投資事業で連結子会社のJTRUST ASIA PTE.LTD.の保有するGroup Lease PCLに対する債権についてその全額を繰り入れた貸倒引当金199.2億円などが響いて下方修正され、営業収益754億4100万円(前期比1.5%増)、営業利益327億4500万円の赤字(前期は47億5900万円の黒字)、純利益363億5000万円の赤字(同7億3100万円の赤字)と赤字転落を見込んだ。この損失・貸倒引当金は、現時点で考え得る限りのリスクを前倒しで計上したもので、逆に業績の不確実性を完全に払拭し業績のV字回復の下地作りとなる。

 この業績予想通りにその後発表された2月の月次データでは、東南アジア金融事業の銀行業の貸出金残高は、前年同月に比べ16.5%減となったが、日本金融事業の債務保証残高は、同52.2%増の2014億円、韓国及びモンゴル金融事業の銀行業による貸出金残高は、同10.5%増とそれぞれ積み上がるなど順調に推移した。さらに今年2月28日には日本保証事業で湘南しんきん、小田急不動産と協業協定書を締結し、3月1日にはSBJ銀行のハワイの不動産購入ローンの保証取扱を開始するなど積極経営策が続いている。

■PBR0.3倍の底値圏から急騰再現期待を高めてリバウンド幅を再拡大

 株価は、今期業績の業績下方修正・減配で急落した昨年来安値366円から悪材料出尽くしとして483円高値まで約31%高し、25日移動線を出没し、底値買いと戻り売りが交錯する400円台固めの最終局面を示唆している。業績下方修正でPER評価は投資採算圏外となるが、PBRは0.30倍と底値圏放置を示唆しており、急騰再現期待を強めて一段の底上げに再発進、483円高値抜けから昨年12月高値584円が次の上値フシとして意識されよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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