【アナリスト水田雅展の銘柄分析】松田産業は自律調整一巡、16年3月期の増収増益期待で上値試す

銘柄分析

 貴金属リサイクル事業の松田産業<7456>(東1)の株価は、利益確定売りや3月期末の配当権利落ちなどで一旦反落したが、4月1日の1512円から切り返しの動きを強めている。16年3月期の増収増益期待で3月23日の高値1635円を試す展開だろう。10年1月の1824円も視野に入る。

 貴金属リサイクルを主力とする貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、製品・技術開発強化を推進している。海外は中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは工場建設に着手している。食品関連事業は中国、タイに拠点展開している。

 なお3月13日には、6月下旬開催予定の第66回定時株主総会において承認されることを条件として、監査等委員会設置会社に移行すると発表した。過半数を社外取締役で構成する監査等委員会の設置により、業務執行の適法性・妥当性の監査・監督機能の強化と、コーポレートガバナンス体制の一層の強化を図ることで、より透明性の高い経営の実現を目指すとしている。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(2月12日に増額修正)は、売上高が前々期比8.8%増の1800億円、営業利益が同22.1%増の55億円、経常利益が同20.6%増の59億円、純利益が同28.4%増の41億円、配当予想(2月12日に増額修正)が同1円増配の年間25円(第2四半期末12円、期末13円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比7.1%増収、同3.1%営業増益、同1.0%経常減益、同4.6%最終増益だった。貴金属関連事業は環境部門の銀価格下落が影響して減益だったが、貴金属部門の貴金属製品販売数量増加などで増収だった。食品関連事業は販売数量増加や価格上昇などで増収増益だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)429億40百万円、第2四半期(7月~9月)446億83百万円、第3四半期(10月~12月)469億16百万円、営業利益は第1四半期9億31百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期16億86百万円である。収益は拡大基調だ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.8%、営業利益が67.2%、経常利益が68.0%、純利益が67.8%だった。利益進捗率がやや低水準の形だが、半導体・電子部品業界の生産が回復基調であり、通期ベースでの好業績が期待される。

 さらに今期(16年3月期)は、景気回復に伴って半導体・電子部品業界の生産増加が予想され、貴金属関連事業で利益率の向上や貴金属相場の上昇が寄与して増収増益基調だろう。

 株価の動きを見ると、15年3月期業績と配当予想の増額修正を好感した3月23日の高値1635円から、利益確定売りや3月期末の配当権利落ちなどで一旦反落したが、4月1日の1512円から切り返しの動きを強めている。自律調整が一巡したようだ。

 4月9日の終値1574円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS154円03銭で算出)は10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.6%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1778円38銭で算出)は0.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して切り返しの動きを強めている。サポートラインを確認した形だ。16年3月期の増収増益期待で上値を試す展開だろう。10年1月の1824円も視野に入る。

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