【アナリスト水田雅展の銘柄分析】P&Pホールディングスは16年3月期の増収増益期待で切り返し

銘柄分析

販売支援や物流業務請負などを展開するP&Pホールディングス<6068>(JQS)の株価は、3月の戻り高値から一旦反落したが切り返しの動きを強めている。強基調に転換したようだ。16年3月期の増収増益を期待する動きだろう。なお5月12日に15年3月期の決算発表を予定している。

12年10月に持株会社へ移行して、モバイル関連の販売支援を中心とするSPO(セールス・プロセス・アウトソーシング・サービス)事業、倉庫・物流拠点作業やコンビニエンスストア棚卸サービスなどのBYS(バックヤードサポート・サービス)事業、コールセンターを中心とする人材派遣・紹介のHR(ヒューマンリソース・サービス)事業、その他事業(WebSPOサービス「もにったー」など)を展開している。

13年4月にSPO事業強化に向けて流通向け建築・内装施工の子会社P&Pデザイン(PPD)を設立、13年6月に小売・流通向けセールス・プロモーションや伊藤ハム<2284>向け人材派遣の藤栄テクノサービス(現ジャパンプロスタッフ)(JPS)を子会社化、13年10月に経理アウトソーシング事業のリラインを子会社化した。

中期成長に向けてSPO事業では、特定建設業許可を取得した子会社PPDの販売用什器作成や店頭売場作りを拡大し、店頭販売に関する支援をトータルプロデュースすることで高収益化を推進している。BYS事業はネット通販市場の拡大や大手コンビニエンスストアの新規出店が追い風だ。またHRサービスでは利益貢献が見込めない事業に関して見直しを進めている。

前期(15年3月期)の連結業績見通し(5月9日公表)は売上高が280億円~300億円(前々期比7.1%増~14.7%増)、営業利益が6億円~7億50百万円(同8.8%増~36.0%増)のレンジ予想で、経常利益と純利益の見通しは非開示としている。配当予想(5月13日に増額修正)は同1円増配の年間11円(期末一括)としている。

第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比0.7%減収、同2.6%営業減益、同10.1%経常増益、同47.3%最終減益だった。大手コンビニエンスストア向け棚卸サービスなどBYSサービスは好調だが、SPOサービスやHRサービスがやや低調だった。純利益は事業整理損の計上も影響した。

ただし四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)65億13百万円、第2四半期(7月~9月)61億76百万円、第3四半期(10月~12月)64億73百万円で、営業利益は第1四半期45百万円、第2四半期81百万円、第3四半期2億26百万円である。営業損益は第3四半期に大幅改善した。第4四半期(1月~3月)も改善が期待される。

通期見通し下限値に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.4%、営業利益が58.7%とやや低水準で、連結月次業績(売上高)は15年3月が前年同期比4.8%減収、14年4月~15年3月累計が同2.2%減収とやや低調だった。

前期(15年3月期)は下振れに注意が必要だが、今期(16年3月期)はBYS事業が引き続き好調に推移して全体を牽引する。ネット通販市場の拡大に伴って物流拠点作業、大手コンビニエンスストアの出店拡大に伴って棚卸サービスが拡大基調だ。

またSPOサービスにおけるキャンペーン獲得営業の強化、グループシナジーを最大限に発揮したワンストップ販売促進支援サービスへの転換、そしてコスト面では新基幹システム導入や子会社リラインを活用した業務効率化も寄与して増収増益が期待される。

なお重点施策の一つとして、将来の東証1部市場への上場を見据えて東証2部市場への上場申請の検討を開始し、内部統制の確立、コンプライアンスの強化、届出書類の整備・精査を推進する方針としている。

株価の動きを見ると、3月24日の戻り高値349円から配当権利落ちも影響して一旦反落したが、325円近辺から切り返しの動きを強めている。15年3月期業績の下振れ懸念を織り込んで、16年3月期の増収増益を期待する動きだろう。

4月10日の終値332円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPSは未公表のため営業利益予想のレンジ上限値を基に推定した連結EPS34円80銭で算出)は9~10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は3.3%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS323円57銭で算出)は1.0倍近辺である。

週足チャートで見ると、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなって切り返す動きだ。強基調への転換を確認した形だろう。14年7月の350円は射程圏であり、16年3月期の増収増益期待で14年1月387円を目指す展開だろう。

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