【アナリスト水田雅展の企業レポート】バルクホールディングスは調整一巡、20年3月期大幅増収・黒字予想

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 バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業としてサイバーセキュリティ分野を強化している。19年3月期はサイバーセキュリティ分野における大型案件の受注期ズレで赤字だったが、20年3月期はサイバーセキュリティトレーニングサービスが本格寄与して大幅増収・黒字予想である。中期的にもサイバーセキュリティ分野の寄与を期待したい。株価は水準を切り下げて1月の年初来安値に接近しているが、調整一巡して反発を期待したい。

■コンサルティング事業とマーケティング事業を展開

 セキュリティ事業とマーケティング事業を展開し、新規事業として18年1月サイバーセキュリティ分野に本格進出した。

 セキュリティ事業は、子会社バルクが情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)を展開している。子会社バルクは情報セキュリティマネジメント分野のリーディングカンパニーで、プライバシーマーク認定取得は1800件超、ISO27001認証取得は500件超の取得支援実績を誇っている。

 マーケティング事業は、子会社バルクがマーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)、子会社マーケティング・システム・サービスがセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

 なお17年10月には、大気中に含まれる様々な種類のガスの同時検知を可能とする超小型高精度ガスセンサを開発した米国のAerNosに出資している。18年9月には、ブロックチェーン技術を用いてクリプトアセット(暗号化されたデジタル資産)アドバイザリー事業を展開する子会社CELを設立した。

 また19年1月には韓国Keypair社と、日本国内におけるKeyWallet TouchとKeypair社が開発する店舗向け仮想通貨決済ソリューションの販売に関する独占契約を締結した。

■サイバーセキュリティ分野に進出

 サイバーセキュリティ分野は、イスラエルのサイバージムと共同事業で米国SCHを18年1月設立して進出し、将来の収益柱としての育成を目指している。サイバージム独自開発のサイバー環境を模したサイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供する。

 18年4月サイファー・テック(CT)と業務提携、18年5月イスラエル大手ベンチャーキャピタルVertex Ventures Israelのゼネラルパートナーを務めるデイビッド・ヘラー氏が米国SCHのアドバイザリーボードメンバーに就任、18年6月Jupiter(ジュピター)プロジェクトを主宰するビーオービー(BOB)と業務提携、18年7月サイバージムと出資契約を締結した。

 米国SCHは米国ニューヨークに18年7月、サイバージムがグローバル戦略の中核と位置付けているコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)の「CyberGym NYC」を開設し、18年8月日本初となるハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)の「CyberGym Tokyo」を開設、ジョージワシントン大学サイバー&国土安全保障センター所長のフランクJ・シルフォ氏が米国SCHのアドバイザリーボードメンバーに就任した。18年9月にはサイバートラストと協業合意書を締結した。

 19年1月にはサイバージムと共同で重要インフラ向けサービスを提供する米国企業(本社ロサンゼルス市)と、米国LAコマーシャルアリーナに係る販売契約および運用サポート等契約を締結した。開設は19年7月~8月予定である。

 19年2月にはテクノプロ・デザイン社とサイバーセキュリティ・エキスパート育成事業で協業、スイスのハイテク・ブリッジ社とセキュリティサービス「ImmuniWeb AI platform」の国内独占販売契約を締結、シンガポールのCYBAVO社とサイバーセキュリティ分野で協業した。

 19年4月にはインターネット総合研究所とハイブリッドアリーナ(東京都新宿区、19年7月~8月頃目途に開設予定)の販売等協業に係る契約を締結、IRI・BBTグループ代表の藤原洋氏がSCHのアドバイザリーボードメンバーに就任した。

■20年3月期黒字予想、中期的にサイバーセキュリティ分野の寄与期待

 19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比4.2%増の10億50百万円、営業利益が3億80百万円の赤字(18年3月期は15百万円の黒字)、経常利益が3億98百万円の赤字(同19百万円の黒字)、純利益が4億11百万円の赤字(同42百万円の黒字)だった。

 売上面では、既存事業の情報セキュリティ規格コンサルティングサービス、マーケティングリサーチサービス、セールスプロモーションサービスが好調に推移したが、サイバーセキュリティ―トレーニングサービスを展開する米国SCHにおいて大型案件受注の期ズレが発生し、積極的に先行投資を実施したため各利益は赤字だった。なおセキュリティ事業(サイバーセキュリティ分野含む)は21.3%増収、マーケティング事業は13.0%増収だった。

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比2,3倍の23億94百万円、営業利益が1億01百万円の黒字(19年3月期は3億80百万円の赤字)、経常利益が99百万円の黒字(同3億98百万円の赤字)、純利益が57百万円の黒字(同4億11百万円)としている。サイバーセキュリティトレーニングサービスが本格寄与して大幅増収・黒字予想である。中期的にもサイバーセキュリティ分野の寄与を期待したい。

■株価は調整一巡期待

 株価は水準を切り下げて1月の年初来安値に接近しているが、調整一巡して反発を期待したい。5月24日の終値は427円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS6円56銭で算出)は約65倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS160円38銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約38億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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