テクマトリックスは上値試す、20年3月期2Q累計が計画超の大幅増益で通期も上振れ余地

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 テクマトリックス<3762>(東1)は、セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。20年3月期増収増益予想である。第2四半期累計は計画超の大幅増収増益だった。通期も上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■クラウドサービスに注力

 セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は、情報基盤事業(ネットワーク・セキュリティ関連ハードウェアの販売)が67%、アプリケーション・サービス事業(医療・CRM・EC・金融を重点分野とするクラウドサービス提供およびシステム受託開発)が33%、営業利益構成比は情報基盤事業が74%、アプリケーション・サービス事業が26%だった。

 連結子会社は、医療情報クラウドサービスのNOBORI、遠隔画像診断関連ITサービスの医知悟、ITシステム基盤コンサルティングのクロス・ヘッド、沖縄県内におけるIT人材教育やデータセンターサービスの沖縄クロス・ヘッド、システム開発のカサレアルの5社である。なおNOBORIは18年4月三井物産<8031>が出資して共同で事業展開している。

 収益面では情報サービス関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い傾向がある。またクラウドビジネスの積み上げによってストック売上比率が上昇(19年3月期は情報基盤事業が39.1%で0.5ポイント上昇、アプリケーション・サービス事業が55.3%で2.5ポイント上昇)している。

 クラウドサービスでは、コンタクトセンター向け顧客情報・対応履歴一元管理CRMシステム「Fastシリーズ」や、医療情報クラウドサービス「NOBORI」などを展開している。19年3月期末の「NOBORI」契約施設数は950施設、画像保管患者数は2612万2000人、保存検査件数は1億4597万9000件となった。

■中期経営計画で21年3月期営業利益27億円目標

 中期経営計画「GO BEYOND 3.0」では、目標数値に21年3月期売上高280億円、営業利益27億円(情報基盤事業の売上高が185億円で営業利益が17億50百万円、アプリケーション・サービス事業の売上高が95億円で営業利益が9億50百万円)を掲げている。

 事業戦略としては、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の推進、資本・業務提携や大学・研究機関との連携など事業運営体制の多様化、全領域におけるサービス化の加速、AI利用を含むデータの利活用、BtoC(消費者向けビジネス)への参入、海外市場での事業の加速、グループを横断した人財・技術の有効活用など事業運営基盤の強化、M&Aの活用を掲げている。

 18年10月AIを活用した医療画像診断支援技術のエルピクセルに出資、19年1月沖縄クロス・ヘッドが香港のISL HKと協業開始、19年2月LINEの法人向けサービス発売・開発パートナーとしてTechnology Partnerに認定、19年4月NOBORIと日本メジフィジックスが業務提携、NOBORIとA-Lineが資本・業務提携した。

 11月21日には山崎情報設計との資本・業務提携(51%出資)を発表した。金融機関向け市場系システム分野のビジネスを強化する。

■20年3月期2Q累計が計画超の大幅増益で通期も上振れ余地

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.4%増の268億円、営業利益が1.7%増の24億60百万円、経常利益が4.6%増の24億60百万円、純利益が8.8%増の16億円としている。配当予想(9月17日に修正、20年3月期から中間配当を実施)は2円増配の27円(第2四半期末12円、期末15円)である。

 受注が高水準に推移して増収増益・連続増配予想である。中期経営計画2年目にあたる20年3月期の目標数値(売上高260億円、営業利益24億円)を超過達成する見込みだ。売上高計画は情報基盤が6.2%増の180億円、アプリケーション・サービスが4.0%増の88憶円としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比13.9%増の138億円で、営業利益が42.3%増の13億43百万円、経常利益が50.8%増の13億39百万円、純利益が48.8%増の8億71百万円だった。計画超の大幅増収増益で、売上高、利益とも過去最高だった。

 情報基盤は次世代ファイアウォール、不正侵入防御アプライアンス、Webセキュリティ対策製品等が好調に推移して11.5%増収・23.0%増益、アプリケーション・サービスは医療分野の好調やCRM分野の大型案件で19.2%増収・2.3倍増益だった。いずれも大幅伸長した。ストック比率は情報基盤が37.2%、アプリケーション・サービスが56.6%だった。全体の受注高は12.7%増145億12百万円、受注残高は19.8%増の178億65百万円だった。

 通期予想は据え置いたが、第2四半期累計の進捗率は売上高51.5%、営業利益54.6%と順調である。第4四半期の構成比が高い傾向を考慮すれば、通期も上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

 株価は高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月25日の終値は2245円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS80円52銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想27円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS583円33銭で算出)は約3.8倍、時価総額は約500億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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